Today's Topic
2つの集合\(A, B\)に対して、ある要素\(x\)が
- \(x \in A \cap B\)であることを示すためには、\(x \in A\)かつ\(x \in B\)両方が成り立てば良い。
- \(x \in A \cup B\)であることを示すためには、\(x \in A\)または\(x \in B\)どちらかが成り立てば良い。
- \(x \in \overline{A}\)であることを示すためには、\(x \notin A\)かつ\(x \in U\)両方が成り立てば良い。
この記事を読むと、この問題が解ける!
全体集合\( U = \left\{ x | xは20以下の自然数 \right\} \)に対して2つの集合
$$A = \left\{ 2, 3, 6, 7 \right\}$$
$$B = \left\{ x | xは20以下の素数 \right\}$$
を考える。このとき、次の集合に含まれる要素を全て書き表せ。
- \(A \cap B\)
- \(A \cup B\)
- \(\overline{A \cup B}\)
Contents
共通部分
1〜12のうち、2の倍数だけを集めた集合\(A\)と、3の倍数だけを集めた集合\(B\)を考えます。
このとき、集合\(A\)にも含まれ、かつ集合\(B\)にも含まれている要素がありますね?
このような\(x \in A\)かつ\(x \in B\)の要素だけ集めて作った集合を共通部分といいます。
集合\(A\)と\(B\)の共通部分は\(A \cap B\)と表され、\(\cap\)は蓋を閉じるようなイメージからキャップと読みます。
和集合
先程と同じ2つの集合を考えてみましょう。
このとき、集合\(A\)か集合\(B\)、少なくともどちらか一方には含まれている要素を考えます。
このような\(x \in A\)または\(x \in B\)の要素だけ集めて作った集合を和集合といいます。
集合\(A\)と\(B\)の共通部分は\(A \cup B\)と表され、\(\cup\)は容器のようなイメージからカップと読みます。
補集合
これまで個別に集合\(A\)や\(B\)を捉えてきましたが、実際の場面では1つの集合\(U\)を決めて、その部分集合として\(A, B\)を考えることが多いです。
この集合\(U\)を全体集合といい、集合\(U\)の要素で集合\(A\)には含まれない要素全体の集合を\(\overline{A}\)と表します。
図で表すと次のようなイメージをしています。
例えば、全体集合
に対して、2の倍数を集めて作った集合
を考えると、その補集合は
となります。
補集合の性質
この定義とベン図を見てもらうと、次のような性質がわかります。
ポイント
- $$A \cap \overline{A} = \phi$$
- $$A \cup \overline{A} = U$$
- $$\overline{\overline{A}} = A$$
- $$A \subset B ならば \overline{A} \supset \overline{B}$$
上から順に日本語訳していくと、
- 集合\(A\)と\(A\)に含まれない要素の集合\(\overline{A}\)の共通部分は空集合(要素がない)
- 集合\(A\)と\(A\)に含まれない要素の集合\(\overline{A}\)の和集合は全体集合
- 「\(A\)に含まれない要素の集合\(\overline{A}\)」に含まれない集合は\(A\)
- 集合\(A\)が集合\(B\)に含まれるならば、\(A\)に含まれない要素の集合\(\overline{A}\)に\(B\)でない要素全てが含まれる
となります。
まとめ
まとめ
2つの集合\(A, B\)に対して、ある要素\(x\)が
- \(x \in A \cap B\)であることを示すためには、\(x \in A\)かつ\(x \in B\)両方が成り立てば良い。
- \(x \in A \cup B\)であることを示すためには、\(x \in A\)または\(x \in B\)どちらかが成り立てば良い。
- \(x \in \overline{A}\)であることを示すためには、\(x \notin A\)かつ\(x \in U\)両方が成り立てば良い。
今回扱った集合間の関係は、今後数学を捉える上で非常に重要な内容になります。
イメージで覚えるのも大事ですが、まとめにもある式で理解しておくことが肝心です。
ベン図で理解することは悪いことではありませんが、集合の話は抽象的になりすぎて、ベン図で書くことが難しいことがちょいちょいあります。
そのため、集合を「どんな要素の集まりなのか」で捉えられておくようにしておくと良いですよ。
以上、「和集合・共通部分・補集合について」でした。
チェック問題
例題
全体集合\( U = \left\{ x | xは20以下の自然数 \right\} \)に対して2つの集合
$$A = \left\{ 2, 3, 6, 7 \right\}$$
$$B = \left\{ x | xは20以下の素数 \right\}$$
を考える。このとき、次の集合に含まれる要素を全て書き表せ。
- \(A \cap B\)
- \(A \cup B\)
- \(\overline{A \cup B}\)
とりあえず、集合\(B\)の全要素は書き出せるのでメモっておきましょう。
- ベン図を書いて、とりあえず把握する
- 各条件を満たす要素を考え、集合全体を捉える
など行うと効果的です。
\(A \cap B\)は集合\(A, B\)の共通部分を表す集合のことでしたね。
\(A\)にも\(B\)にも含まれている要素を考えると、\(2,3,7\)が該当しますね。
続いて\(A \cup B\)は集合\(A, B\)の和集合のことでしたね。
\(A\)または\(B\)にも含まれている要素を考えると、重複しているものを除くと\(2,3,5,6,7,11,13,17,19\)が該当しますね。
よって
(※見切れている場合はスクロール)
最後に\(\overline{A \cup B}\)を考えてみましょう。
これは\(A \cup B\)の補集合、すなわち
の要素を考えれば良いということになります。
全集合の条件より、20以下の自然数の中で
に含まれないものは\(1,4,8,9,10,12,14,15,16,18,20\)
よって
(※見切れている場合はスクロール)
となります。