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$$\sin 2\theta = 2\sin\theta\cos\theta$$
\begin{align} \cos 2 \theta &= \cos^2\theta-\sin^2\theta\\\ &= 2\cos^2\theta -1\\\ &= 1-2\sin^2\theta \\\ \end{align}
注意
『2倍角の公式 覚え方』で検索した人は、絶対に最後まで読んでください!!!!!
こんなあなたへ
「2倍角の公式の覚え方を教えて欲しい!」
「使う場面っていつなの?どんな問題で有効なの?」
この記事を読むと、この問題ができる!
- \(\sin \frac{\pi}{8}\cos\frac{\pi}{8}\)の値を求めよ。
- \(\sin2\theta \)を\(\cos\theta\)のみで表せ。
- 3倍角:\(\cos 3\theta\)の値を\(\cos\theta\)のみで表せ。
三角関数を一気に理解したい方への記事は、こちらにまとめてあります。
Contents
2倍角の公式
2倍角の公式とは、一般に次の2つのことを言います。
2倍角の公式
$$\sin 2\theta = 2\sin\theta\cos\theta$$
\begin{align} \cos 2 \theta &= \cos^2\theta-\sin^2\theta\\\ &= 2\cos^2\theta -1\\\ &= 1-2\sin^2\theta \\\ \end{align}
タンジェントの2倍角は式変形により求められるようにしておきましょう。
分子と分母を\(\cos^2\theta\)で割ると
\begin{align} \frac{2\sin\theta\cos\theta}{cos^2\theta -\sin^2\theta} &= \frac{\frac{2\sin\theta\cos\theta}{\color{red}{\cos^2\theta}}}{\frac{\cos^2\theta -\sin^2\theta}{\color{red}{\cos^2\theta}}}\\\ &= \frac{2\frac{\sin\theta}{\cos\theta}}{1 -\frac{\sin^2\theta}{\cos^2\theta}}\\\ &= \frac{2\tan\theta}{1 -\tan^2\theta}\\\ \end{align}
2倍角の公式の覚え方
結論から言ってしまうと、2倍角の公式は覚えるものではありません。
加法定理から簡単に証明できますし、ましてや語呂合わせで覚えるなんて、時間を浪費するだけ。
まず2倍角の公式は単体で出題されることはなく、基本的に計算過程で施す処理の一環で登場します。
その場合、
\(\sin\theta\cos\theta\)という値が欲しいな
\(\sin\theta\)だけで表せたら楽なんだけどな
など、式変形に明確な意図を持って2倍角の公式を使う必要があります。
具体例を見てみましょう。
例題
\(\cos2\theta+3\cos\theta\)の最大値を求めよ。
この例題には\(\cos2\theta\)が登場していますので、2倍角の公式より様々な変形が施せます。
例えば、
と変形すると、式がただ複雑になるだけで何も解決しません。
一方で、
と変形すると、与えられた式は
となり二次方程式のように扱えます。
これにより、最大値なんかを求めることができるようになります。
このように、2倍角の公式は場面に合わせた式変形ができてこそ役立つもの。
そしてその場面に合わせた式変形をするためには、暗記するよりも、加法定理から自由に式変形できるスキルの方が必要です。
仮に暗記していてテスト本番で忘れてしまった場合、結局自分で求めなくてはならないので、どう考えても加法定理から自分の好きな形に変形できるスキルの方が大切です。
2倍角の公式の証明
それでは、2倍角の公式を求めてみましょう。
加法定理を使うだけで、何も難しくありません。
加法定理について復習したい人はこちらを参考にしてください。
続きを見る
加法定理の使い方とイメージしやすい証明→覚えることは2つだけ!
2倍角の公式|\(\sin2\theta\)の変形
加法定理を施した結果の特徴として、\(\sin\theta\)と\(\cos\theta\)の積で表せるという点が挙げられます。
2倍角の公式|\(\cos2\theta\)の変形
コサインの2倍角の特徴は、加法定理を施した結果、\(\cos^2\theta\)と\(\sin^2\theta\)が登場します。
これにより、サインコサインの初歩的な公式
が代入できます。
\(\sin^2\theta\)に着目して、\(\sin^2\theta=\left(1-\cos^2\theta\right)\)を代入すると
となります。
同様に、\(\cos^2\theta\)に着目して、\(\cos^2\theta=\left(1-\sin^2\theta\right)\)を代入すると
となります。
ポイント
2倍角を処理するコツは
加法定理+ナニカ
だと思ってください。
2倍角の公式の証明は以上ですが、この「加法定理+ナニカ」のコツを知っていると、\(\cos2\theta\)を次のように変形ができます。
まずは加法定理と\(\sin^2\theta=\left(1-\cos^2\theta\right)\)を代入することにより、
\(\cos2\theta = 2\cos^2\theta-1\)
と変形できます。
ここで
\(1+\tan^2\theta=\frac{1}{\cos^2\theta}\)だったので、
を代入します。
すると、
となり、\(\cos2\theta\)を\(\tan\theta\)のみで表すことができました。
このように、2倍角は暗記するよりも、自由な式変形が施せるようになることが最も応用力が身につくところです。
繰り返しますが、
ポイント
2倍角を処理するコツは
加法定理+ナニカ
だと思ってください。
2倍角の公式を使う例題
では、具体的な問題を見ていきましょう。
例題1|有名角でないサインコサインの値を求める
例題
\(\sin \frac{\pi}{8}\cos\frac{\pi}{8} \)の値を求めよ。
与えられた式をよく見てみると、サインとコサインの積で表されていることがわかります。
この形が来たら、「あぁ、\(\sin2\theta\)に変形して欲しいのね」と思ってください。
加法定理より、
両辺を\(\frac{1}{2}\)倍して、
この式を用います。
例題2|\(\sin\theta,\cos\theta,\tan\theta\)のどれかに統一する
例題
\(\sin2\theta \)を\(\cos\theta\)のみで表せ。
加法定理より、
ここで、\(\sin^2\theta+\cos^2\theta = 1\)を変形した、
を代入します。
すると、
となります。
この例題のように、2倍角の基本的な使い方は、サインコサイン、もしくはタンジェントのどれかに統一するという使い方になると思います。
例題3|〜倍角を求める
例題
3倍角:\(\cos 3\theta\)の値を\(\cos\theta\)のみで表せ。
加法定理より、
と変形できます。
ここから先の式変形には、明確な意図が必要です。
\(\sin2\theta=2\sin\theta\cos\theta\)を代入してみると、
(※見切れている場合はスクロール)
となります。
一方、\(\cos2\theta = 1-2\sin^2\theta\)を代入してみると、
(※見切れている場合はスクロール)
\(\sin^2\theta+\cos^2\theta = 1\)より、\(\sin^2\theta = 1-\cos^2\theta\)なので
(※見切れている場合はスクロール)
というように、\(\cos\theta\)だけで統一できました。
まとめ
まとめ
- $$\sin 2\theta = 2\sin\theta\cos\theta$$
- \begin{align} \cos 2 \theta &= \cos^2\theta-\sin^2\theta\\\ &= 2\cos^2\theta -1\\\ &= 1-2\sin^2\theta \\\ \end{align}
- 2倍角は、覚えるのではなく加法定理から導いた方が良い。
- 2倍角をうまく変形するためには、問題場面に合わせて「加法定理+ナニカ」で式変形を施せば良い。
2倍角は覚えることよりも、使うことに価値があります。
問題場面に合わせてうまく式変形できるように、
「2倍角の公式」
を覚えるのではなく、
「2倍角は『加法定理+ナニカ』」
で覚えるようにしてください!
過去に僕が犯した過ちを、繰り返さないで。
以上、2倍角の公式「加法定理+ナニカ」についてでした。
例題1、2、3を参照してください。