Today's Topic
$$\lim_{x\rightarrow0}\frac{\sin x}{x}=1$$
この記事を読むと、この問題がわかる!
- $$\lim_{x\rightarrow0}\frac{\sin3x}{\sin2x}$$
- $$\lim_{x\rightarrow0}\frac{2x-x^2}{x+\sin x}$$
Contents
【覚える公式は3つだけ】すべては\(\frac{\sin x}{x}\)に持ち込める!
三角関数の極限として覚えるべきは以下の3つです。
ポイント
- $$\lim_{x\rightarrow 0}\frac{\sin x}{x}=1$$
- $$\lim_{x\rightarrow 0}\frac{\tan x}{x}=1$$
- $$\lim_{x\rightarrow 0}\frac{1-\cos x}{x^2}=\frac{1}{2}$$
公式2、3は公式1をもとに導くことができるので、自力で導出できるようになっておくと大学入試でも安心して使うことができます。
\(\frac{\tan x}{x}=\frac{1}{\cos x}\cdot\frac{\sin x}{x}\)より、
$$\lim_{x\rightarrow 0}\frac{\tan x}{x}=1\cdot1=1$$
\begin{align} \frac{1-\cos x}{x^2} &= \frac{1-\cos x}{x^2}\cdot\color{red}{\frac{1+\cos x}{1+\cos x}}\\\ &= \left(\frac{\sin x}{x}\right)^2\cdot \frac{1}{\color{red}{1+\cos x}}\\\ \end{align}
よって、
$$\lim_{x\rightarrow 0} \frac{1-\cos x}{x^2} =1^2\cdot\frac{1}{2}=\frac{1}{2}$$
【証明】\(\frac{\sin x}{x}\)の極限は、図形的なはさみうち!
すべての源になっていた公式1
の証明は、図形的なイメージが重要です。
- 二等辺三角形\(\triangle OAB\)の面積は\(\frac{1}{2}\sin x\)
- 扇型の面積は\(\frac{1}{2}x\)
- 直角三角形\(\triangle OAC\)の面積は\(\frac{1}{2}\tan x\)
参考
サインコサインの定義から、\(BH=\sin x,OH=\cos x\)。
比例式\(OH:BH=OA:CA\)より、
\(CA=\frac{BH}{OH}=\frac{\sin x}{\cos x}=\tan x\)。
図形の大小関係から、
\(\frac{1}{2}\sin x< \frac{1}{2} x < \frac{1}{2}\tan x\)
\(\frac{1}{2}\)を消して逆数の大小関係に着目すると、
\(\frac{1}{\tan x} < \frac{1}{x} < \frac{1}{\sin x}\)
全辺に\(\sin x\)をかけると、\(\frac{\sin x}{\tan x} < \frac{\sin x}{x} < 1\)
$$1 \xrightarrow[x\rightarrow 0]{} 1$$
より、はさみうちの原理から、
【他極限への応用】強引に3公式に帰着する
三角関数の場合、どんなどんな極限も大体は3公式に帰着させることができます。
具体的な例題を見てみましょう。
例題
$$\lim_{x\rightarrow0}\frac{\sin 3x}{\sin 2x}$$の値を求めよ。
三角関数の極限で一番厄介なところは、サインコサインのグラフが振動を繰り返しているので、不定形になりやすいという点です。
実際、この例題もそのまま極限を求めると、
となってしまいます。
不定形にならないようにするために、先ほどの3公式に帰着するとうまくいく場合が多いです。
\(x\rightarrow0\)とはすなわち\(x\neq0\)を仮定しているので、
となります。
もう1つみてみましょう。
例題
$$\lim_{x\rightarrow\frac{\pi}{2}}\frac{\cos x}{\frac{\pi}{2}-x}$$
この手の極限を見たときに、最初にこう思う人がいます。
\(x\rightarrow\frac{\pi}{2}\)だから、\(x\rightarrow0\)の3公式は使えないなぁ。
違います。
使えるように変形しようとすることが大事なのです。
この式もこのまま極限を求めようとすると\(\frac{0}{0}\)不定形になってしまいます。
そこで、
と置いてみたらどうでしょうか。
\(x\rightarrow\frac{\pi}{2}\)であれば、\(y\rightarrow0\)となり公式が使える形のスタートラインまでは持っていけます。
与えられた式を\(x\)の式から、\(y\)の式に変形させていきましょう。
\(y=\frac{\pi}{2}-x\)なので、\(x=\frac{\pi}{2}-y\)に置き換えてあげましょう。
最後の形はおなじみですね?
となりました。
まとめ
まとめ
三角関数の極限は、
- $$\lim_{x\rightarrow 0}\frac{\sin x}{x}=1$$
- $$\lim_{x\rightarrow 0}\frac{\tan x}{x}=1$$
- $$\lim_{x\rightarrow 0}\frac{1-\cos x}{x^2}=\frac{1}{2}$$
の3つのどれかに帰着させて考えれば良い。
公式2、3は公式1に帰着でき、公式1は二等辺△<扇型<直角△の関係から証明すれば良い。
三角関数の極限は、慣れてしまえばそれほど難しくありません。
当然この公式だけですべての極限が求められるようになるわけではありません。
が、高校数学で出題される範囲ではこの3公式が圧倒的に強いので、完璧にしておきましょう。
チェック問題
例題
$$\lim_{x\rightarrow0}\frac{2x-x^2}{x+\sin x}$$
(解答)
$$\lim_{x\rightarrow0}\frac{2x-x^2}{x+\sin x}$$
そのまま求めると、\(\frac{0}{0}\)不定形になってしまう。
そこで、分母分子を\(x\)で割ってみると、
\begin{align} \frac{2x-x^2}{x+\sin x} &= \frac{\frac{2x-x^2}{\color{red}{x}}}{\frac{x+\sin x}{\color{red}{x}}}\\\ &= \frac{2-x}{1+\frac{\sin x}{x}}\\\ \end{align}
となる。
よって、
$$\frac{2-x}{1+\frac{\sin x}{x}} \xrightarrow[x\rightarrow0]{} \frac{2}{1+1}=1$$