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はさみうちの原理を使うためには、
-
STEP1与えられた数列\(\{b_n\}\)の極限が求めにくい場合、一旦諦めよう。式変形してゴリゴリ計算しているのに、不定形が解消されない場合や、数列の一部が振動する場合は、はさみうちの原理を考えてみます。
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STEP2次の条件を満たす数列\(\{a_n\},\{c_n\}\)を作り出す。
- \(\{a_n\},\{c_n\}\)が同じ値に収束すること
- どんな自然数\(n\)に対しても、\(a_n≦b_n≦c_n\)が成り立つ
-
STEP3はさみうちの原理を使って、おしまい\(\{a_n\},\{c_n\}\)が同じ値に収束すること、そしてはさみうちの原理から\(\{b_n\}\)も同じ値に収束することを言えばOK
のようにすれば良い。
この記事を読むと、この意味がわかる!
- はさみうちの原理を使うためのコツ
- はさみうちの原理が有効な問題の見分け方
はさみうちの原理
はさみうちの原理
3つの数列\(\{a_n\},\{b_n\},\{c_n\}\)が
$$a_n ≦ b_n ≦ c_n\ (n=1,2,3,\cdots)$$
を満たし、かつ\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \alpha,\ c_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \alpha\)ならば
$$b_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \alpha$$
である。
注意して欲しい点は、何項目であっても
という関係が崩れない3つの数列に限定されていること。
感覚的な証明
厳密な証明は大学数学に任せてあるので、ここではそれよりも『極限の感覚を養うこと』を重点に証明していきたいと思います。
数列の極限の大小関係で解説した通り、数列の極限の大小関係では
2つの数列\(\{a_n\}, \{b_n\}\)が、それぞれ\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \alpha,\ b_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \beta\)となるとき
どの項に対しても\(a_n≦b_n\)が成り立つならば、\(\alpha≦\beta\)
が成り立ちます。
これをもとに考えると、特に難しいこともありません。
3つの数列\(\{a_n\},\{b_n\},\{c_n\}\)が
という関係で、それぞれの極限値が
とすると、数列の極限の大小関係より、
が成り立ちます。
このとき、\(\gamma = \alpha\)とすると、
となり、この条件を満たすためには\(\beta = \alpha\)を認めるしかないということです。
はさみうちの原理の使い方
さて、ここからが本番です。
はさみうちの原理は、その公式よりも使い方が非常に重要になります。
まず、はさみうちの原理のメリットとしては
ということが挙げられます。
具体的に見てみましょう。
例題
$$\lim_{n\to\infty}\frac{1}{n}\sin\frac{2n}{3}\pi$$
\(\frac{1}{n} \underset{n\to \infty}{\longrightarrow}0\)であることと、\(\sin\frac{2n}{3}\pi \)は\(-1〜1\)までの値しか取らないことから、この答えは\(0\times x (|x|≦1)=0\)と予測はできますが、はさみうちの原理を使って、正確に求めていきましょう。
与えられた数列の一般項\(\frac{1}{n}\sin\frac{2n}{3}\pi\)について、
であることに着目すると、
と分かりますね。
両端の数列の極限が
となり、はさみうちの原理から
が言えるのでおしまいです。
ポイントは
-
STEP1与えられた数列\(\{b_n\}\)の極限が求めにくい場合、一旦諦めよう。式変形してゴリゴリ計算しているのに、不定形が解消されない場合や、数列の一部が振動する場合は、はさみうちの原理を考えてみます。
-
STEP2次の条件を満たす数列\(\{a_n\},\{c_n\}\)を作り出す。
- \(\{a_n\},\{c_n\}\)が同じ値に収束すること
- どんな自然数\(n\)に対しても、\(a_n≦b_n≦c_n\)が成り立つ
楓発見するのではなく、意図的に作り出すという意識が大事! -
STEP3はさみうちの原理を使って、おしまい\(\{a_n\},\{c_n\}\)が同じ値に収束すること、そしてはさみうちの原理から\(\{b_n\}\)も同じ値に収束することを言えばOK
はさみうちの原理の例題
例1
例題
$$\lim_{n\to\infty}\frac{(-1)^n}{n}$$
まず与えられた数列の\((-1)^n\)に着目すると、\(n\to\infty\)のときに振動してしまいます。
そこで式変形を一旦諦めて、はさみうちかな?と予測を立ててみます。
数列\(\{b_n\}=\frac{(-1)^n}{n}\)を挟み込めるような数列を考えてみると、
が思いつきます。
よって、\(-\frac{1}{n} \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 0,\ \frac{1}{n} \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 0\)より、はさみうちの原理から
例2
例題
$$\lim_{n\to\infty}\frac{\cos 3n\theta}{n+1}$$
\(-1≦\cos 3n\theta≦1\)であることに着目すると、
\(-\frac{1}{n+1} \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 0,\ \frac{1}{n+1} \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 0\)より、はさみうちの原理から
例3
例題
\(h>0\)のとき、
$$\lim_{n\to\infty}\frac{n}{(1+h)^n}$$を求めよ。ただし、\(h>0\)ならば
\((1+h)^n≧1+nh+\frac{n(n-1)}{2}h^2\)が成り立つことは用いて良い。
条件より、
(※見切れている場合はスクロール)
かつ
より、はさみうちの原理から
まとめ
まとめ
はさみうちの原理を使うためには、
-
STEP1与えられた数列\(\{b_n\}\)の極限が求めにくい場合、一旦諦めよう。式変形してゴリゴリ計算しているのに、不定形が解消されない場合や、数列の一部が振動する場合は、はさみうちの原理を考えてみます。
-
STEP2次の条件を満たす数列\(\{a_n\},\{c_n\}\)を作り出す。
- \(\{a_n\},\{c_n\}\)が同じ値に収束すること
- どんな自然数\(n\)に対しても、\(a_n≦b_n≦c_n\)が成り立つ
楓発見するのではなく、意図的に作り出すという意識が大事! -
STEP3はさみうちの原理を使って、おしまい\(\{a_n\},\{c_n\}\)が同じ値に収束すること、そしてはさみうちの原理から\(\{b_n\}\)も同じ値に収束することを言えばOK
のようにすれば良い。
はさみうちの原理は、直接極限を求めにくい場合に、他の数列の極限で間接的に求める方法。
ただし、用いる数列は同じ値に収束するように自分で調節していく必要があります。
練習を何回か重ねて、自分でちょうどいい数列で挟み込めるようになりましょう。
以上、「はさみうちの原理について」でした。