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【完全版】高校数学の勉強法とオススメの参考書をレベル別にまとめてみました。

極限

【等比数列の極限】暗記は絶対にダメ!絶対必要な極限の感覚をマスターしよう。

等比数列の極限の性質

Today's Topic

初項\(a\)、公比\(r\)の等比数列\(\{ar^{n-1}\}\)の極限には、

  • \(r>1\)のとき、\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \infty\)
  • \(r=1\)のとき、\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} a\)
  • \(0<r<1\)のとき、\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 0\)
  • \(-1<r<0\)のとき、\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 0\)
  • \(r<-1\)のとき、\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 振動\)

という性質がある。

ただし、これは覚えるのではなく、実際に調べた方がラク

今日は等比数列の極限について考えよう、と言っても暗記するものは何もないよ!
なんか学校だと4つくらい公式覚えさせられた気が・・・。
小春
あぁ、あんなのいらないよ。内容的には小学生の算数レベルだから。

 

この記事を読むと、この問題が瞬間的にわかる!

  • $$\lim_{n\to\infty}\frac{2^n+1}{3^n}$$
  • $$\lim_{n\to\infty}\frac{2^n-(-5)^n}{(-5)^n+3^n}$$

1つは具体例で、もう1つは最後に答え合わせするね!

 

かける数によって、どのように数が変わるのか

 

「等比数列の極限」とタイトルをつけていますが、結論から言ってしまえば、別に「等比数列だから特別なことがある」というわけではありません

 

等比数列よりも、どちらかと言えば「掛け算」の性質に近いです。

じっくり具体例を見ながら考えていきましょう。

 

公比が1よりも大きい場合

例題

数列\(\{a_n\}\)の一般項が

$$a_n = 3\cdot 2^{n-1}$$

のとき、この数列の極限を求めよ。

 

初項が3、公比が2。

 

この数列はつまり、「3に2をどんどんかけていく」ということを表しています。

 

\(3\times2\)は?
\(6\)でしょ?
小春
\(3\times2\times2\)は?
\(12\)だよ・・・
小春
\(3\times2\times2\times\cdots\)
いつまでやるの・・・泣
小春
値はどんどん・・・?
あ、大きくなっていくね!
小春

 

このように、公比が1よりも大きい数列の場合、項が進むにつれて値は大きくなっていきます。

よって、

$$\lim_{n\to\infty}a_n = \infty$$

ということが分かりますね。

 

公比が0以上1以下の場合

例題

数列\(\{a_n\}\)の一般項が

$$a_n = 3\cdot \left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}$$

のとき、この数列の極限を求めよ。

 

初項が3、公比が\(\frac{1}{2}\)。

この数列はつまり、「3に\(\frac{1}{2}\)をどんどんかけていく」ということを表しています。

 

ポイント

公比が分数のとき、小数に直して考えてみると考えやすくなる。

 

\(\frac{1}{2}=0.5\)と1よりも小さく、掛けるたび値は半分になっていきますね。

そのため、項が進むにつれて値はどんどん小さくなりますが、決して0にはなりません。

 

よって、

$$\lim_{n\to\infty}a_n = 0$$

ということが分かります。

小春
つまり0に収束する(0に近づき続ける)んだね!

 

公比が1の場合

例題

数列\(\{a_n\}\)の一般項が

$$a_n = 3\cdot 1^{n-1}$$

のとき、この数列の極限を求めよ。

 

1は何回かけても・・・?
値は変わらない・・・?
小春
だから・・・?
極限も変わらない・・・
小春

 

よって、

$$\lim_{n\to\infty}a_n = 3$$

ということが分かります。

 

公比が負の場合

 

公比が負の場合には、2パターン考えることができます。

どちらもギザギザな動きをすることが特徴的ですが、発散か・収束かが異なります。

 

絶対値が1よりも大きい

例題

数列\(\{a_n\}\)の一般項が

$$a_n = \left(-\frac{11}{10}\right)^{n-1}$$

のとき、この数列の極限を求めよ。

 

ポイント

公比が負のとき、\(-1\)を切り離して考えてみると考えやすくなる。

 

初項が1、公比が\((-1)^{n-1}\times\left(\frac{11}{10}\right)^{n-1}\)。

 

一旦\(-1\)を除外して考えてみると、1に\(\frac{11}{10}\)をかけ続けると値は次第に大きくなっていきますね。

小春
\(\frac{11}{10}\)は1よりも大きいもんね。

 

ここで\(-1\)をかけ続けるとどうなるか考えてみると・・・。

小春
\(-1\)をかけるたびに、プラスマイナスが入れ替わるね。

 

グラフで捉えてみると、

公比が負のときの極限

このように振動していることが分かります。

 

よって、

$$\lim_{n\to\infty}a_n = 振動$$

ということが分かります。

 

絶対値が1よりも小さい

例題

数列\(\{a_n\}\)の一般項が

$$a_n = 5\left(-\frac{12}{13}\right)^{n-1}$$

のとき、この数列の極限を求めよ。

 

先ほどと同様に、\(-1\)を切り離して考えてみましょう。

 

初項5に\(\frac{12}{13}\)をかけ続けると・・・

小春
\(\frac{12}{13}<1\)だから、どんどん値が小さくなる!
その通り!ただし、0にはならないからね。

 

そして、\(-1\)をかけ続けるとどうなるか考えてみると・・・。

小春
やっぱり\(-1\)をかけるたびに、プラスマイナスが入れ替わるね。

 

グラフで捉えてみると、

公比が負のときの極限
小春
あ、しんどu・・・

 

これは振動ではありません。

 

極限の基礎の記事でも紹介した通り、振動とはプラマイが入れ替わると同時に、発散する場合のことです。

 

今回はギザギザに動いてはいますが、値が小さくなり、最終的に0に収束しているため

$$\lim_{n\to\infty}a_n = 0$$

ということが分かります。

 

小春
・・・・・・

 

等比数列の極限の性質

 

以上のことをまとめると、

ポイント

初項\(a\)、公比\(r\)の数列\(\{ar^{n-1}\}\)の極限は、

  • \(r>1\)のとき、\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \infty\)
  • \(r=1\)のとき、\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} a\)
  • \(0<r<1\)のとき、\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 0\)
  • \(-1<r<0\)のとき、\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 0\)
  • \(r<-1\)のとき、\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 振動\)

となります。

 

だけどこれを公式みたいに覚えるのは、なんというか労力の無駄だよね。。。
確かに、自分で「かけ続けるとどうなるかな」って考えた方が楽そうだね。
小春

 

等比数列の極限の例題

 

例題

$$\lim_{n\to\infty}\frac{2^n+1}{3^n}$$

 

そのまま考えると、\(\frac{\infty}{\infty}\)の不定形になってしまいますね。

 

そこで分母、分子を\(2^n\)で割って繁分数を考えてみると、

$$\frac{2^n+1}{3^n}=\frac{1+\left(\frac{1}{2}\right)^n}{\left(\frac{3}{2}\right)^n}$$

となります。

 

\(\left(\frac{3}{2}\right)^n\)は初項\(\frac{3}{2}\)に、\(\frac{3}{2}\)をかけ続けるわけですから値は次第に大きくなります

$$ \left(\frac{3}{2}\right)^n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \infty$$

 

一方、\(\left(\frac{1}{2}\right)^n\)は初項\(\frac{1}{2}\)に、\(\frac{1}{2}\)をかけ続けるわけですから値は次第に小さくなります

$$ \left(\frac{1}{2}\right)^n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 0$$

 

つまり、

\begin{align} \lim_{n\to\infty}\frac{2^n+1}{3^n} &= \lim_{n\to\infty}\frac{1+\left(\frac{1}{2}\right)^n}{\left(\frac{3}{2}\right)^n} \\\ &= \frac{1+0}{\infty}\\\ &= 0 \\\ \end{align}

となります。

\(\frac{1}{\infty}\)は分母がむちゃくちゃ大きい数ってことね。
分母が大きくなるほど0に近くなるけど、0にはならないね。
小春

 

メモ

今回は分母、分子を\(2^n\)で割りましたが、\(3^n\)で割っても結果は同じです。

$$\frac{2^n+1}{3^n}=\left(\frac{2}{3}\right)^n+\left(\frac{1}{3}\right)^n$$

なので、

\begin{align} \lim_{n\to\infty}\frac{2^n+1}{3^n} &= \lim_{n\to\infty} \left(\left(\frac{2}{3}\right)^n+\left(\frac{1}{3}\right)^n\right) \\\ &= 0\\\ \end{align}

 

まとめ

今日のまとめをするよ!

 

まとめ

初項\(a\)、公比\(r\)の等比数列\(\{ar^{n-1}\}\)の極限には、

  • \(r>1\)のとき、\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \infty\)
  • \(r=1\)のとき、\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} a\)
  • \(0<r<1\)のとき、\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 0\)
  • \(-1<r<0\)のとき、\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 0\)
  • \(r<-1\)のとき、\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 振動\)

という性質がある。

ただし、これは覚えるのではなく、実際に調べた方がラク

 

今回学んだことは、今後極限の計算をしていく上で重要な考え方になります。

公式として覚えずに、公比を見極めて『かけ続けるとどうなるか』を考えていきましょう。

 

以上、「等比数列の極限について」でした。

 

チェック問題

 

例題

$$\lim_{n\to\infty}\frac{2^n-(-5)^n}{(-5)^n+3^n}$$


\(3^n\)や\(2^n\)で割ると、振動する部分が出てくるため考えにくくなります。

\((-5)^n\)で割ると、

\begin{align} \lim_{n\to\infty}\frac{2^n-(-5)^n}{(-5)^n+3^n} &= \lim_{n\to\infty}\frac{\left(-\frac{2}{5}\right)^n-1}{1+\left(-\frac{3}{5}\right)^n}\\\ &= \frac{0+0}{1}\\\ &=0\\\ \end{align}

\今回の記事はいかがでしたか?/

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