Today's Topic
指数・対数関数の極限を考えるためには、
- $$\lim_{h\to 0} (1+h)^{\frac{1}{h}} = e$$
- $$\lim_{h\to \infty} \left(1+\frac{1}{h}\right)^{h} = e$$
- $$\lim_{h\to 0} \frac{\log (1+h)}{h} = 1$$
- $$\lim_{h\to 0} \frac{e^h - 1}{h} = 1$$
のどれかに帰着させて考えれば良い。
ただし、\(1^{\infty}\)不定形の場合は、ネイピア数の定義である公式1、もしくは公式2を使うと良い。
参考【指数関数の極限(基礎)】底に着目すれば暗記ゼロ!実践で使える指数関数の考え方
参考【対数関数の極限(基礎)】実践で使える重要な性質と対数関数の極限の意味
この記事を読むと、この問題が解ける!
- $$\lim_{n\to\infty} n\left\{\log(n+1)-\log n\right\}$$
- $$\lim_{x\to0}\frac{x}{2^x-1}$$
【覚えるべき公式4選】全ては\(e\)の定義に持ち込める!
まず結論から述べると、指数・対数関数の極限で覚えるべき公式は次の4つに限定されます。
ポイント
- $$\lim_{h\to 0} (1+h)^{\frac{1}{h}} = e$$
- $$\lim_{h\to \infty} \left(1+\frac{1}{h}\right)^{h} = e$$
- $$\lim_{h\to 0} \frac{\log (1+h)}{h} = 1$$
- $$\lim_{h\to 0} \frac{e^h - 1}{h} = 1$$
お気づきかもしれませんが、公式1はネイピア数\(e\)の定義そのものです。
参考自然対数、ネイピア数とは?なぜあの定義なのか、何が自然なのか。お金の話で超簡単に理解できる!!
そして公式2は、公式1の\(h\)を\(\frac{1}{h}\)に書き換えた形になっています。
どちらもそのまま計算すると\(1^{\infty}\)不定形になりますので、この公式はしっかり覚えておかないと対処できなくなります。
公式3は公式1を使って、公式4は公式3を使って導くことができます。
公式1のネイピア数の定義を用いる。
$$\lim_{h\to 0} (1+h)^{\frac{1}{h}} = e$$
両辺に自然対(\log\)をとると、
$$\log\left( \lim_{h\to 0} (1+h)^{\frac{1}{h}}\right) = \log e = 1$$
リミットとログは入れ替えることができるので、
$$\lim_{h\to 0} \log(1+h)^{\frac{1}{h}} = 1$$
よって、
$$\lim_{h\to 0} \frac{\log (1+h)}{h} = 1$$
$$\lim_{h\to 0} \frac{e^h - 1}{h} = 1$$
において\(t = e^h-1\)とおくとき、
- \(h\to0\)のとき\(t \to 0\)
- \(h=\log(1+t)\)
なので、
\begin{align} \lim_{h\to 0} \frac{e^h - 1}{h} &= \lim_{h\to 0} \frac{t}{\log(1+t)}\\\ &= 1\\\ \end{align}
4つの公式の中で、
- 公式1、公式2:\(1^{\infty}\)不定形
- 公式3、公式4:\(\frac{0}{0}\)不定形
となっていることに着目すると、次のような使い分けができるようになります。
【使い分けの奥義】\(1^{\infty}\)不定形は\(e\)の公式を使え!
上記4つの式ですが、実は使い分けのコツがあります。
それは
というものです。
例題
$$\lim_{x \to \infty} \left(\frac{x-2}{x}\right)^x$$
そのまま極限を考えると\(1^{\infty}\)となっていますね。
そこでネイピア数の定義である公式1、もしくは公式2が使える形に持っていきます。
\(h=-\frac{2}{x}\)とおくと、\(x\to \infty \)のとき\(h \to 0\)なので、
となります。
これでは少々物足りないでしょうから、もう少し複雑な例題も扱ってみましょう。
例題
$$\lim_{x\to\infty} \left(\frac{x-1}{x+1}\right)^x$$
なので、これはそのまま計算すると\(1^{\infty}\)の不定形になりますね。
そこで先ほどと同様、\(h=-\frac{2}{x+1}\)とおいてみましょう。
すると、
- \(x\to\infty\)のとき、\(h\to 0\)
- \(x = -\frac{2}{h}-1\)
なので、次のように式変形できます。
このように\(1^{\infty}\)不定形の場合はネイピア数の定義に帰着すればいいことが多く、それ以外の不定形は式変形をうまく駆使して\(\frac{0}{0}\)不定形に持ち込むことで公式3、4が使えるようになります。
まとめ
それではまとめます。
まとめ
指数・対数関数の極限を考えるためには、
- $$\lim_{h\to 0} (1+h)^{\frac{1}{h}} = e$$
- $$\lim_{h\to \infty} \left(1+\frac{1}{h}\right)^{h} = e$$
- $$\lim_{h\to 0} \frac{\log (1+h)}{h} = 1$$
- $$\lim_{h\to 0} \frac{e^h - 1}{h} = 1$$
のどれかに帰着させて考えれば良い。
ただし、\(1^{\infty}\)不定形の場合は、ネイピア数の定義である公式1、もしくは公式2を使うと良い。
指数・対数関数の極限は数問解いていくうちに「解くためのコツ」がほとんど共通していることに気がつけます。
それほど難しい内容ではないので、さっと理解した上で問題をガッツリ解いてみると力になりますよ!
以上、「指数・対数関数の極限」についてでした。
チェック問題
例題
$$\lim_{n\to\infty} n\left\{\log(n+1)-\log n\right\}$$
(※見切れている場合はスクロール)
より、このまま計算すると\(\infty \times 0\)不定形になる。
ここで繁分数
の考え方を用いると、
となり\(\frac{1}{n} \to 0\)より、与式は\(\frac{0}{0}\)不定形まで変形することができた。
ここまで来れば公式3を使うことで
と導くことができる。
例題
$$\lim_{x\to0}\frac{x}{2^x-1}$$
ネイピア数の公式
を用いる。
参考log(ログ)って何?常用対数、自然対数とは?対数を徹底解説!!