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こんなあなたへ
「三角関数の合成の意味がわからない」
「やり方はわかるけど、やる意味とか使う場面がわからない」
この記事を読むと・・・
- 三角関数の合成のやり方、そしてコツが簡単に理解できる!
- 合成をするメリットがわかる!
三角関数を一気に理解したい方への記事は、こちらにまとめてあります。
Contents
三角関数の合成|合成の公式
三角関数の合成は、以下の公式で表すことができます。
三角関数の合成
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この公式は、サインコサインの値と同様、憶えるべきものではありません。
合成を使いこなすためには、グラフを意識した『三角関数の合成でやりたいこと』を把握する必要があります。
この『三角関数の合成でやりたいこと』を理解した上で、後述するあるコツを身につければ合成は何も難しくありません。
三角関数の合成|合成の意味とメリット
サインコサイン のグラフは、波を描きます。
\(xy\)平面に\(y=\sin x\)と\(y=\cos x\)のグラフを描いてみると、このようになります。
ではここで、二つを足し算した\(y=\sin x+\cos x\)のグラフを描いてみましょう。
例えば
- \(x=0\)のとき、\(\sin 0+\cos 0 = 1\)
- \(x=\frac{\pi}{4}\)のとき、\(\sin \frac{\pi}{4}+\cos \frac{\pi}{4} = \sqrt{2}\)
のように、二つの波が合体してより大きな波を描くことがわかります。
実はこの、2つの波が合体してもまた波ができるという性質がかなり重要です。
これまでに出てきた2つの波は\(y=\sin x\)と\(y=\cos x\)の2つ。
\(y=\cos x=\sin\left(x-\frac{\pi}{2}\right)\)とすることでサインに統一できるので、波は基本的にサインで表すことができるはずです。
そこでもう一度、\(y=\sin x+\cos x\)のグラフを見てみましょう。
2つの波が合体し、より大きな波となっています。
そう!波になっているんです!!!!!
波は基本的にサインで表すことができる、ということがわかっていますので、この\(y=\sin x+\cos x\)のグラフもサインだけで表したくなるのです。
これが三角関数の合成の意図しているところになります。
要約すると、
ポイント
- 2つの波が合体すると、波になる。
- 波はサインの形で表せる。
- 合体した波も、サインの形で表せるはず!
という考え方です。
三角関数の合成|合成のコツ
例として\(y=\sin x+\cos x\)の合成を考えていきます。
三角関数の合成の考え方は、三角関数のサインの加法定理の逆をするという認識が最も最適です。
ポイント
$$\sin\left(x+y\right)=\sin x\cos y+\cos x\sin y$$
加法定理について復習したい人はこちらを参考にしてください。
続きを見る
加法定理の使い方とイメージしやすい証明→覚えることは2つだけ!
加法定理を眺めてみると、右辺がサインコサイン 入り混じった形になっているのに対して、左辺はサインのみで表されています。
つまり加法定理の逆を使えば、僕たちが今一番したいサインのみで表すということができるはずですね。
加法定理の逆
$$\sin x\cos y+\cos x\sin y=\sin\left(x+y\right)$$
ここで、\(\sin x+\cos x\)と加法定理を見比べてみると、加法定理は\(x\)と\(y\)の2変数が登場しているのに対して、\(\sin x+\cos x\)は\(x\)の1変数のみです。
そこで加法定理の中で登場した変数のうち1つ\(y\)が、定数になっていると考えてみます。
つまり\(\sin y=定数,\cos y=定数\)と考えるわけです。
係数を意識して加法定理を書き換えると、
となります。
ここで2つの式を見比べてみましょう。
$$\cos y\sin x+\sin y\cos x$$
単純に考えて\(\sin x+\cos x\)は、\(\cos y=\sin y=1\)と表された加法定理と考えることができます。
ただし、\(\sin x\)の係数が\(\cos y\)、\(\cos x\)の係数が\(\sin y\)と考えている点に注意です。
ただ\(\cos y=\sin y=1\)となる、定数\(y\)の値は存在しません。
そこで、\(\sqrt{2}\)で\(\sin x+\cos x\)をくくってみましょう。
このようにすると、\(\cos y=\sin y=\frac{1}{\sqrt{2}}\)となるような定数\(y\)を考えればよく、\(y=\frac{\pi}{4}\)と求められます。
あとは加法定理の逆をたどって
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と合成することができました。
この\(\sqrt{2}\)という値は、\(1\sin x+1\cos x\)の係数\(1,1\)を使って
を計算することで導きました。
このように\(\sqrt{係数^2+係数^2}\)でくくると、綺麗に合成することができるという認識でOKです。
まとめると、
ポイント
三角関数\(a\sin x+b\cos x\)の合成を行うためには、\(\sin x,\cos x\)の係数\(a,b\)に着目して、\(\cos \theta=\frac{a}{a^2+b^2},\sin\theta=\frac{a}{a^2+b^2}\)となるような定数\(\theta\)を見つければ良い。
ということになります。
三角関数の合成|合成を使う場面
三角関数の合成を使う場面、それは当然サインとコサインが入り混じった関数をよりわかりやすくしたいときです。
例で扱った
も、2つの関数の和から、\(\sin x\)の定数倍、平行移動を施した形になっています。
三角関数の合成の例題
難易度:
例題
\(y=\sin x-\sqrt{3}\cos x\ (0≦x<2\pi)\)の最大値と最小値を求めよ。
サインとコサインがバラバラに動くとわかりにくいので、合成して1つのサインと見なせば良い。
\(\sin x-\sqrt{3}\cos x\)を合成すると、
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となる。
よって\(\cos \theta=\frac{1}{2},\sin \theta =- \frac{\sqrt{3}}{2}\)となるような定数\(\theta\)が存在する。
\(\theta=\frac{5}{3}\pi\)はこの条件を満たすので、
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\(-1≦\sin\left(x+\frac{5}{3}\pi\right)≦1\)より、
\(-2≦2\sin\left(x+\frac{5}{3}\pi\right)≦2\)。
よって\(\sin x-\sqrt{3}\cos x\)の最大値は2、最小値は-2となる。
補足
\begin{align} y &= \sin x-\sqrt{3}\cos x\\\ &= 2\sin\left(x+\frac{5}{3}\pi\right)\\\ \end{align}
より、グラフは次のようになることがわかります。
また、\(2\sin\left(x+\frac{5}{3}\pi\right)\)において
\(\sin\left(x+\frac{5}{3}\pi\right)=1\)のとき、最大値2となる。
すなわち、
$$x+\frac{5}{3}\pi=\frac{\pi}{2},\frac{5\pi}{2},\frac{9\pi}{2}\cdots$$
よって、
$$x=-\frac{7}{6}\pi,\frac{5}{6}\pi,\frac{17}{6}\pi,\cdots$$
となるが、\(0≦x<2\pi\)より\(x=\frac{5}{6}\pi\)のとき最大値を取るとわかる。
最小値も同様にして、\(x=\frac{11}{6}\pi\)のとき最大値を取るとわかる。
三角関数の合成|まとめ
それでは、まとめです。
まとめ
- 三角関数の合成は複数の波を1つの波として、サインで統一して表すためのもの。
- 三角関数\(a\sin x+b\cos x\)の合成を行うためには、\(\sin x,\cos x\)の係数\(a,b\)に着目して、\(\cos \theta=\frac{a}{a^2+b^2},\sin\theta=\frac{a}{a^2+b^2}\)となるような定数\(\theta\)を見つければ良い。
- サインコサインが入り組み、考えることが複雑になるものは合成してサインで考えれば良い。
暗記するだけじゃ全く使い道がわからなかったものが、意味を考えると何をすればいいか見えてくるでしょう?
テスト前は暗記でもいいですが、普段勉強するときは暗記よりも意味を意識してみてくださいね。
以上、「三角関数の合成」についてでした。