Today's Topic
(積和の公式)
- $$\sin\alpha\cos\beta = \frac{1}{2}\left\{\sin\left(\alpha+\beta\right)+\sin\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$
- $$\sin\alpha\sin\beta = \frac{1}{2}\left\{\sin\left(\alpha+\beta\right)-\sin\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$
- $$\cos\alpha\cos\beta = \frac{1}{2}\left\{\cos\left(\alpha+\beta\right)+\cos\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$
- $$\sin\alpha\sin\beta = \frac{1}{2}\left\{-\cos\left(\alpha+\beta\right)+\cos\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$
(和積の公式)
- $$\sin A+ \sin B = 2\sin\frac{A+B}{2}\cos \frac{A-B}{2}$$
- $$\sin A- \sin B = 2\cos\frac{A+B}{2}\sin \frac{A-B}{2}$$
- $$\cos A+ \cos B = 2\cos\frac{A+B}{2}\cos \frac{A-B}{2}$$
- $$\cos A- \cos B = -2\sin\frac{A+B}{2}\sin \frac{A-B}{2}$$
この記事を読むと、この問題がわかる!
- \(\sin^2 2x +\cos x -\cos 3x +\sin^2 x\)を因数分解せよ。
- \(\int \sin 3x \cos2x\ dx\)を求めよ。
三角関数を一気に理解したい方への記事は、こちらにまとめてあります。
Contents
積和の公式・和積の公式 一覧
積和の公式
- $$\sin\alpha\cos\beta = \frac{1}{2}\left\{\sin\left(\alpha+\beta\right)+\sin\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$
- $$\sin\alpha\sin\beta = \frac{1}{2}\left\{\sin\left(\alpha+\beta\right)-\sin\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$
- $$\cos\alpha\cos\beta = \frac{1}{2}\left\{\cos\left(\alpha+\beta\right)+\cos\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$
- $$\sin\alpha\sin\beta = \frac{1}{2}\left\{-\cos\left(\alpha+\beta\right)+\cos\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$
(※見切れている場合はスクロール)
和積の公式
- $$\sin A+ \sin B = 2\sin\frac{A+B}{2}\cos \frac{A-B}{2}$$
- $$\sin A- \sin B = 2\cos\frac{A+B}{2}\sin \frac{A-B}{2}$$
- $$\cos A+ \cos B = 2\cos\frac{A+B}{2}\cos \frac{A-B}{2}$$
- $$\cos A- \cos B = -2\sin\frac{A+B}{2}\sin \frac{A-B}{2}$$
(※見切れている場合はスクロール)
積和の公式・和積の公式の証明
ポイント
証明するときの、気持ちに注目しておこう!
積和の公式の証明
ここでは、
(※見切れている場合はスクロール)
を証明します。
まずは、加法定理から、右辺に\(\sin\alpha\cos\beta\)が登場する
を想像します。
右辺の\(\sin\alpha\cos\beta\)だけを取り出すために、\(\cos\alpha\sin\beta\)を消したくなります。
そこで、\(\sin\left(\alpha+\beta\right)\)と逆符号の\(\sin\left(\alpha-\beta\right)\)を考えます。
この2つを足すと、
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となり、\(\sin\alpha\cos\beta\)のみを残すことができました。
両辺\(\frac{1}{2}\)倍して、
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が得られました。
以上のことから、
ポイント
積和の公式を示すためには、
- 加法定理の中で、右辺に\(\sin\)と\(\cos\)の積が含まれているものを2つ(+版とー版を)思い浮かべる
- 辺々足す、もしくは引く
- 係数を調整
の順に行えば良い
ことがわかりましたね。
和積の公式の証明
ここでは、
(※見切れている場合はスクロール)
を証明します。
ここでは、左辺に\(\sin\)が登場する2つの加法定理
$$\sin\left(\alpha-\beta\right)=\sin\alpha\cos\beta\color{red}{-}\cos\alpha\sin\beta$$
を思い浮かべます。
この2つを足してみると、
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となります。
ここで、
$$B=\alpha-\beta$$
とすると、
$$\beta = \frac{A-B}{2}$$
と表せます。
これを用いると、先ほどの筆算の結果は
(※見切れている場合はスクロール)
となります。
以上のことから、
ポイント
積和の公式を示すためには、
- 加法定理の中で、左辺に\(\sin\)もしくは\(\cos\)のが含まれているものを2つ思い浮かべる
- 辺々足す、もしくは引く
- \(\alpha+\beta = A,\alpha - \beta =B\)と置いて整理(\(\alpha\)は足して半分、\(\beta\)は引いて半分)
の順に行えば良い
ことがわかりましたね。
積和/和積の公式を使うコツ
ご紹介したように、2つの公式は合わせて8つある上に、出題される頻度もそれほど多くありません。
そのため必死に暗記しても、利益が薄い公式です。
暗記するよりも、必要に応じて、必要な公式だけをその場で作り出す力の方が重要です。
積和の公式 問題で使うコツ
例題
\(\sin3x\cos x\)を和の形に書き換えよ。
ポイント
積和の公式は、加法定理の右辺に着目して式変形を行おう!
手順としては証明のときのポイントと全く同じです。
step
1積の形が右辺に現れる加法定理を思い浮かべる
\(\sin3x\)と\(\cos x\)の積が、右辺に現れる加法定理は
$$\sin\left(3x-x\right)=\sin 3x\cos x-\cos3x\sin x$$
(※見切れている場合はスクロール)
の2つです。
step
22つの加法定理を辺々足す、もしくは引く
\(\sin3x\cos x\)が残るように、2つの加法定理を足します。
step
3係数の調整
筆算から\(2SC=S_{\color{red}{+}}+S_{\color{red}{-}}\)、つまり
(※見切れている場合はスクロール)
が得られました。
両辺\(\frac{1}{2}\)倍して、整えてあげると
となります。左辺が○\(\times\)○の形になっているのに対して、右辺は○\(+\)○の形になっていますね。
和積の公式 問題で使うコツ
例題
\(\cos x -\cos 3x\)を積の形に書き換えよ。
ポイント
和積の公式は、加法定理の左辺に着目して式変形を行おう!
step
12つの加法定理を思い浮かべる
今回は2つのコサインの差を求める問題です。足して半分、引いて半分を意識すると
- \(\frac{3x+x}{2}=2x\)
- \(\frac{3x-x}{2}=x\)
と表せることから、2つのコサインの加法定理
$$\cos\left(2x+x\right)=\cos 2x\cos x -\sin 2x\sin x$$
(※見切れている場合はスクロール)
を思い浮かべます。
step
22つの加法定理を辺々足す、もしくは引く
加法定理の左辺に着目して、\(\cos x -\cos 3x\)を考えると、
step
3足して半分、引いて半分か確認
筆算から得られた結果を綺麗に書くと、
となりました。
右辺の偏角が、\(x\)と\(3x\)の足して半分、引いて半分になっているか確認しておきましょう。
2つの公式をいつ使うか見極めるコツ
なんども言っているように、積和の公式、和積の公式自体は出題頻度がそれほど多くありません。
その理由は簡単で、使う場面が限られているからです。
その場面というのは、
「サインコサイン の和の形が、積の形であったら嬉しいとき」
「サインコサイン の積の形が、和の形で表せたら嬉しいとき」
です。
例えば、積和の公式を使う場面を考えてみましょう。
積和の公式 例題
例題
\(\int \sin3x \cos x dx\) を求めよ。
積分は基本的に積の形だと苦労し、和の形だと楽できるという特性があります。
そこで苦労する積の形ではなく、ラクできる和の形に直してあげましょう。
(※見切れている場合はスクロール)
このように、積→和の形に直したいときは、積和の公式、和→積の形に直したら便利そうなときは和積の公式を使ってみてください。
まとめ
最後にまとめです。
まとめ
- 積和の公式は、右辺に着目して式変形を行えば良い。
- 和積の公式は、『足して半分、引いて半分』を意識し、左辺に着目して式変形を行えば良い。
- 使うタイミングは積分や因数分解など、積→和、和→積に直した方がラクなとき。
理系の問題で、なかなか解けないなぁと思っていたら、和積に直さなきゃいけなかったというパターンがごく稀にあります。
必死こいて覚えるものではないですが、加法定理から欲しい形だけ抽出できるというスキルは必要になります。
なんども言いますが、暗記せずに加法定理から求められるようになりましょうね!
以上、「積和・和積の公式について」でした。
和積の公式を使うよ。
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積和の公式を使うよ。
(※見切れている場合はスクロール)