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【完全版】高校数学の勉強法とオススメの参考書をレベル別にまとめてみました。

サインコサイン 数Ⅱ 数Ⅲ

【積和の公式・和積の公式】証明と覚え方、使う場面→出題頻度は低いので、自分で導く

Today's Topic

(積和の公式)

  1. $$\sin\alpha\cos\beta = \frac{1}{2}\left\{\sin\left(\alpha+\beta\right)+\sin\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$
  2. $$\sin\alpha\sin\beta = \frac{1}{2}\left\{\sin\left(\alpha+\beta\right)-\sin\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$
  3. $$\cos\alpha\cos\beta = \frac{1}{2}\left\{\cos\left(\alpha+\beta\right)+\cos\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$
  4. $$\sin\alpha\sin\beta = \frac{1}{2}\left\{-\cos\left(\alpha+\beta\right)+\cos\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$

(和積の公式)

  1. $$\sin A+ \sin B = 2\sin\frac{A+B}{2}\cos \frac{A-B}{2}$$
  2. $$\sin A- \sin B = 2\cos\frac{A+B}{2}\sin \frac{A-B}{2}$$
  3. $$\cos A+ \cos B = 2\cos\frac{A+B}{2}\cos \frac{A-B}{2}$$
  4. $$\cos A- \cos B = -2\sin\frac{A+B}{2}\sin \frac{A-B}{2}$$

 

小春
楓くん、これまで色々な公式を見てきたけど、ダントツで積和/和積の公式が覚えられないよ泣
まぁあんなグロテスクな公式を、8つも覚えたくはないよね。。。
小春
というかさ、結局何に使うのかもイマイチだし、覚える必要あるの?
覚える必要は正直ないけど、必要な時にパッと出せてほしいかな。
小春
必要な時?
OK、今日は積和/和積の公式の導出方法から、必要な場面までを見ていこう!

 

この記事を読むと、この問題がわかる!

  • \(\sin^2 2x +\cos x -\cos 3x +\sin^2 x\)を因数分解せよ。
  • \(\int \sin 3x \cos2x\ dx\)を求めよ。
小春
半角の時と同じ、また積分の問題が出てきた!

答えは一番最後にあるよ!

 

三角関数を一気に理解したい方への記事は、こちらにまとめてあります。

 

積和の公式・和積の公式 一覧

2つの公式は合わせて8つもあります・・・。

 

積和の公式

  1. $$\sin\alpha\cos\beta = \frac{1}{2}\left\{\sin\left(\alpha+\beta\right)+\sin\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$
  2. $$\sin\alpha\sin\beta = \frac{1}{2}\left\{\sin\left(\alpha+\beta\right)-\sin\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$
  3. $$\cos\alpha\cos\beta = \frac{1}{2}\left\{\cos\left(\alpha+\beta\right)+\cos\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$
  4. $$\sin\alpha\sin\beta = \frac{1}{2}\left\{-\cos\left(\alpha+\beta\right)+\cos\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$

(※見切れている場合はスクロール)

 

和積の公式

  1. $$\sin A+ \sin B = 2\sin\frac{A+B}{2}\cos \frac{A-B}{2}$$
  2. $$\sin A- \sin B = 2\cos\frac{A+B}{2}\sin \frac{A-B}{2}$$
  3. $$\cos A+ \cos B = 2\cos\frac{A+B}{2}\cos \frac{A-B}{2}$$
  4. $$\cos A- \cos B = -2\sin\frac{A+B}{2}\sin \frac{A-B}{2}$$

(※見切れている場合はスクロール)

 

小春
やっぱりこれ全部覚えるのは、ちょっとしんどいなぁ
出題頻度もそれほど高くないし、自分で必要に応じて求められるようになっている方が効率的なんだよね。

 

積和の公式・和積の公式の証明

8つ全部証明すると長くなるから、それぞれの1番目だけ証明します。

ポイント

証明するときの、気持ちに注目しておこう!

 

積和の公式の証明

ここでは、

$$\sin\alpha\cos\beta = \frac{1}{2}\left\{\sin\left(\alpha+\beta\right)+\sin\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$

(※見切れている場合はスクロール)

を証明します。

 

まずは、加法定理から、右辺に\(\sin\alpha\cos\beta\)が登場する

$$\sin\left(\alpha+\beta\right)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta$$

を想像します。

 

右辺の\(\sin\alpha\cos\beta\)だけを取り出すために、\(\cos\alpha\sin\beta\)を消したくなります

そこで、\(\sin\left(\alpha+\beta\right)\)と逆符号の\(\sin\left(\alpha-\beta\right)\)を考えます。

$$\sin\left(\alpha-\beta\right)=\sin\alpha\cos\beta\color{red}{-}\cos\alpha\sin\beta$$

 

この2つを足すと、

\begin{array}{rr} & \sin\left(\alpha+\beta\right)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta\\\ +&\sin\left(\alpha-\beta\right)=\sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta \\\ &\hline \sin\left(\alpha+\beta\right)+\sin\left(\alpha-\beta\right)=2\sin\alpha\cos\beta \end{array}

(※見切れている場合はスクロール)

となり、\(\sin\alpha\cos\beta\)のみを残すことができました。

 

両辺\(\frac{1}{2}\)倍して、

$$\sin\alpha\cos\beta = \frac{1}{2}\left\{\sin\left(\alpha+\beta\right)+\sin\left(\alpha-\beta\right)\right\}$$

(※見切れている場合はスクロール)

が得られました。

 

以上のことから、

ポイント

積和の公式を示すためには、

  1. 加法定理の中で、右辺に\(\sin\)と\(\cos\)の積が含まれているものを2つ(+版とー版を)思い浮かべる
  2. 辺々足す、もしくは引く
  3. 係数を調整

の順に行えば良い

ことがわかりましたね。

この気持ちが大事ね!

 

和積の公式の証明

お次は和積の公式、やることは一緒。

 

ここでは、

$$\sin A+ \sin B = 2\sin\frac{A+B}{2}\cos \frac{A-B}{2}$$

(※見切れている場合はスクロール)

を証明します。

 

ここでは、左辺に\(\sin\)が登場する2つの加法定理

$$\sin\left(\alpha+\beta\right)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta$$
$$\sin\left(\alpha-\beta\right)=\sin\alpha\cos\beta\color{red}{-}\cos\alpha\sin\beta$$

を思い浮かべます。

 

この2つを足してみると、

\begin{array}{rr} & \sin\left(\alpha+\beta\right)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta\\\ +&\sin\left(\alpha-\beta\right)=\sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta \\\ &\hline \sin\left(\alpha+\beta\right)+\sin\left(\alpha-\beta\right)=2\sin\alpha\cos\beta \end{array}

(※見切れている場合はスクロール)

となります。

ここまでは、積和の公式と一緒だね。

 

ここで、

$$A=\alpha +\beta$$
$$B=\alpha-\beta$$

とすると、

$$\alpha = \frac{A+B}{2}$$
$$\beta = \frac{A-B}{2}$$

と表せます。

\(\alpha\)は足して半分、\(\beta\)は引いて半分で表されるんだね。

 

これを用いると、先ほどの筆算の結果は

$$\sin A+\sin B=2\sin \frac{A+B}{2}\cos\frac{A-B}{2}$$

(※見切れている場合はスクロール)

となります。

 

以上のことから、

ポイント

積和の公式を示すためには、

  1. 加法定理の中で、左辺に\(\sin\)もしくは\(\cos\)のが含まれているものを2つ思い浮かべる
  2. 辺々足す、もしくは引く
  3. \(\alpha+\beta = A,\alpha - \beta =B\)と置いて整理(\(\alpha\)は足して半分、\(\beta\)は引いて半分)

の順に行えば良い

ことがわかりましたね。

小春
積和の公式と、だいたいの手順は一緒だね。
実は、\(\alpha\)は足して半分、\(\beta\)は引いて半分が攻略の鍵さ。

 

積和/和積の公式を使うコツ

ご紹介したように、2つの公式は合わせて8つある上に、出題される頻度もそれほど多くありません。

そのため必死に暗記しても、利益が薄い公式です。

暗記するよりも、必要に応じて、必要な公式だけをその場で作り出す力の方が重要です。

ここでは暗記じゃなくて、自分で問題を解く際に導出できるコツを具体例とともに紹介するよ。

 

積和の公式 問題で使うコツ

例題

\(\sin3x\cos x\)を和の形に書き換えよ。

こんな問題はなかなか出ず、式変形の一環として出ることは知っておいてね。

 

ポイント

積和の公式は、加法定理の右辺に着目して式変形を行おう!

手順としては証明のときのポイントと全く同じです。

 

step
1
積の形が右辺に現れる加法定理を思い浮かべる

\(\sin3x\)と\(\cos x\)の積が、右辺に現れる加法定理は

 

$$\sin\left(3x+x\right)=\sin3x\cos x+\cos3x\sin x$$
$$\sin\left(3x-x\right)=\sin 3x\cos x-\cos3x\sin x$$

(※見切れている場合はスクロール)

 

の2つです。

 

step
2
2つの加法定理を辺々足す、もしくは引く

\(\sin3x\cos x\)が残るように、2つの加法定理を足します。

キチンと書いていたら日がくれるので、略記していきます。
\begin{array}{rr} & S_{+} = SC+CS\\\ +&S_{-}=SC-CS \\\ &\hline S_{+}+S_{-}=2SC \end{array}
加法定理の時に使った略記法だね!
小春

 

step
3
係数の調整

筆算から\(2SC=S_{\color{red}{+}}+S_{\color{red}{-}}\)、つまり

$$2\sin 3x \cos x = \sin\left(3x\color{red}{+}x\right)+\sin\left(3x\color{red}{-}x\right)$$

(※見切れている場合はスクロール)

が得られました。

 

両辺\(\frac{1}{2}\)倍して、整えてあげると

$$\sin 3x \cos x = \frac{1}{2}\left(\sin4x+\sin2x\right)$$

となります。左辺が○\(\times\)○の形になっているのに対して、右辺は○\(+\)○の形になっていますね。

このように変形するメリットは後述するね。

 

和積の公式 問題で使うコツ

例題

\(\cos x -\cos 3x\)を積の形に書き換えよ。

基本的には積和同様、加法定理から考えるよ。

 

ポイント

和積の公式は、加法定理の左辺に着目して式変形を行おう!

 

step
1
2つの加法定理を思い浮かべる

今回は2つのコサインの差を求める問題です。足して半分、引いて半分を意識すると

  • \(\frac{3x+x}{2}=2x\)
  • \(\frac{3x-x}{2}=x\)

と表せることから、2つのコサインの加法定理

 

$$\cos\left(2x-x\right)=\cos 2x\cos x +\sin 2x\sin x$$
$$\cos\left(2x+x\right)=\cos 2x\cos x -\sin 2x\sin x$$

(※見切れている場合はスクロール)

 

を思い浮かべます。

符号が逆になっている関係を意識しよう!

 

step
2
2つの加法定理を辺々足す、もしくは引く

加法定理の左辺に着目して、\(\cos x -\cos 3x\)を考えると、

\begin{array}{rr} & C_{-}=CC+SS\\\ -&C_{+}=CC-SS\\\ &\hline C_{-}-C_{+}=2SS \end{array}

 

step
3
足して半分、引いて半分か確認

筆算から得られた結果を綺麗に書くと、

$$\cos x-\cos 3x = 2\sin 2x \sin x$$

となりました。

 

右辺の偏角が、\(x\)と\(3x\)の足して半分、引いて半分になっているか確認しておきましょう。

 

2つの公式をいつ使うか見極めるコツ

なんども言っているように、積和の公式、和積の公式自体は出題頻度がそれほど多くありません。

その理由は簡単で、使う場面が限られているからです。

 

その場面というのは、

「サインコサイン の和の形が、積の形であったら嬉しいとき」

「サインコサイン の積の形が、和の形で表せたら嬉しいとき」

です。

 

例えば、積和の公式を使う場面を考えてみましょう。

 

積和の公式 例題

 

例題

\(\int \sin3x \cos x dx\) を求めよ。

 

積分は基本的に積の形だと苦労し、和の形だと楽できるという特性があります。

微分して\(\sin3x \cos x\)になるやつ思いつくの大変だもんね。

 

そこで苦労する積の形ではなく、ラクできる和の形に直してあげましょう。

\begin{align} \int \sin3x \cos x dx &=\int \frac{1}{2}\left(\sin4x+\sin2x\right) dx\\\ &= \frac{1}{2}\left(\int \sin4x\  dx + \int \sin2x \ dx\right)\\\ &= \frac{1}{2}\left(-\frac{1}{4}\cos4x - \frac{1}{2}\cos 2x\right)\\\ &= -\frac{1}{8}\left(\cos4x + 2\cos 2x\right)+C\\\ \end{align}

(※見切れている場合はスクロール)

ね?ラクになったでしょ?

 

このように、積→和の形に直したいときは、積和の公式、和→積の形に直したら便利そうなときは和積の公式を使ってみてください。

 

まとめ

最後にまとめです。

 

まとめ

  1. 積和の公式は、右辺に着目して式変形を行えば良い。
  2. 和積の公式は、『足して半分、引いて半分』を意識し、左辺に着目して式変形を行えば良い。
  3. 使うタイミングは積分や因数分解など、積→和、和→積に直した方がラクなとき。

 

理系の問題で、なかなか解けないなぁと思っていたら、和積に直さなきゃいけなかったというパターンがごく稀にあります。

必死こいて覚えるものではないですが、加法定理から欲しい形だけ抽出できるというスキルは必要になります。

なんども言いますが、暗記せずに加法定理から求められるようになりましょうね!

 

以上、「積和・和積の公式について」でした。

最初の答え
 

和積の公式を使うよ。

\begin{align} \sin^2 2x +\color{red}{\cos x -\cos 3x} +\sin^2 x &= \sin^2 2x + \color{red}{2\sin2x\sin x} +\sin^2 x\\\ &= \left(\sin2x+\sin x\right)^2\\\ \end{align}

(※見切れている場合はスクロール)

足して半分、引いて半分を意識しよう!

 

積和の公式を使うよ。

\begin{align} \int \sin 3x \cos2x\ dx &= \int \frac{1}{2}\left\{\sin\left(3x+2x\right)+\sin\left(3x-2x\right)\right\}\ dx\\\ &= \int \frac{1}{2}\left(\sin5x+\sin x\right)\ dx\\\ &= -\frac{1}{10}\cos5x-\frac{1}{2}\cos x+C\\\ \end{align}

(※見切れている場合はスクロール)

\今回の記事はいかがでしたか?/

-サインコサイン, 数Ⅱ, 数Ⅲ

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