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漸近線を調べるためには、
- $$\lim_{x\to\infty}\left\{\frac{f(x)}{x}\right\} $$の極限の有無を調べてから、
- $$b=\lim_{x\to \infty} \left(f(x)-ax\right)$$の有無を調べれば良い。
また、不連続な点での極限を調べれば良い。
この記事を読むと、この意味がわかる!
- 漸近線の求め方
- 漸近線を調べるタイミング
Contents
漸近線とは
小学校6年生で習う反比例のグラフを思い出してみましょう。
このグラフは\(x\)軸、\(y\)軸にむちゃくちゃ近くなりますが、絶対に交わることはありませんでしたね。
このとき、\(x\)軸、\(y\)軸のことを漸近線と言います。
つまり漸近線の定義を、ものすごくわかりやすく現実的にいうとこんな感じ。
定義
曲線Cがある直線\(l\)にギリギリ近づくも、どこまでいっても接したり、交わったりすることがないとき、この直線\(l\)のことを漸近線という。
漸近線を持つ代表的な関数
漸近線はない場合もありますし、複数ある場合もあります。
ですが漸近線を必ず持つとわかっている関数がいくつかあるので、最低限これらの関数は押さえておきましょう。
指数関数
\(y=2^x,y=2^{-x}\)はグラフのようになりますが、\(x\)軸に着目すると漸近線であることがわかります。
対数関数
\(y=\log x\)はグラフのようになりますが、\(y\)軸に着目すると漸近線であることがわかります。
タンジェント
\(y=\tan x\)はグラフのようになりますが、\(x=\frac{\pi}{2}+n\pi\ (nは整数)\)に着目すると漸近線であることがわかります。
分数関数
例に見たような\(y=\frac{1}{x}\)だけでなく、\(\frac{1}{x^2+1}\)のような分数関数も、\(x\)軸に着目すると漸近線であることがわかります。
無理関数を含む関数
\(y=\sqrt{x}\)は漸近線を持ちませんが、\(y=k\sqrt{x^2\pm a}+bx+c\)の形で表されるような関数は漸近線を持ちます。
漸近線の求め方
漸近線は大きく分けて、2タイプに別れます。
- \(y\)軸に平行な漸近線
- \(y\)軸に平行でない漸近線
それぞれ求め方が異なるので、順に見ていきます。
\(y\)軸に平行な漸近線の求め方
ある関数\(f(x)\)が\(y\)軸に平行な直線\(x=a\)を漸近線に持つとき、以下極限のどれかを満たします。
$$\lim_{x\to a+0}f(x) = \infty$$
$$\lim_{x\to a-0}f(x) = -\infty$$
$$\lim_{x\to a+0}f(x) = -\infty$$
例題
\(y=-\log (x-3)\)は漸近線を持つか。
より、
\(y\)軸に平行でない漸近線の求め方2STEP
ある関数\(f(x)\)が\(y\)軸に平行でない直線\(y=ax+b\)を漸近線に持つとき、以下3STEPで求めます。
STEP1 \(\frac{f(x)}{x}\)の極限を調べる→傾きチェック
ある関数\(f(x)\)が直線\(y=ax+b\)を漸近線に持つとき、その距離はどこまでいっても(0に近づくけど)0にはなりません。
これを数学のことばで表すと、
とりあえず、\(a\)から求めたいので両辺\(\frac{1}{x}\)倍すると、
となります。
つまり、\(y=ax+b\)が漸近線であるとき、
が成り立つはずであり、
より\(\frac{f(x)}{x}\)の極限値が、漸近線の傾きを表すとわかります。
STEP2 代入する
STEP1によりわかった極限値\(a\)の値を、①に代入すると
が成り立ちます。
つまり、\(f(x)-ax\)の極限を求めればOK。
漸近線の有無の判別方法
個人的な話ですが、理転したての頃、自信満々に描いたグラフに漸近線が描かれてなく、減点をもらいまくっていました。
「そもそも漸近線があるってわかってないと、調べなくないか?いつも忘れちゃうぞ。」
と、当時は不満だらけでした笑
結論から言えば、「いつ漸近線を調べればいいのか?」という態度自体が間違いです。
とは言え、簡易的な漸近線チェッカーがあるので、テクニックとして知っておくとよいでしょう。
チェック① \(y\)軸に平行でない漸近線があるか
これは『\(y\)軸に平行でない漸近線の求め方』で紹介した方法を応用します。
まず、
を調べることで、傾きを持つかチェックします。
もしこの極限値が存在しないのであれば、その時点で\(y\)軸に平行でない漸近線は存在しません。
もし仮に
となっていても、
となるような\(b\)が存在しない場合も、\(y\)軸に平行でない漸近線は存在しません。
つまりグラフを書いたときに、ちょろ〜っと\(f(x)-ax\)の極限を調べて、極限値がある場合は本腰入れて調べようって話!
チェック② 不連続な点がある
関数\(y=\frac{1}{x}\)は\(x=0\)にて不連続ですね。
このように定義域内で、\(x=a\)のときだけ連続ではない場合、\(y\)軸に平行な漸近線を持つ可能性があります。
もし不連続な点があるのなら、上述の『\(y\)軸に平行な漸近線の求め方』を使ってチェックしてみましょう。
チェック③ 漸近線を持つ代表的な関数である
すでに紹介した漸近線を持つ有名関数の形をしているとき、漸近線がある可能性を疑いましょう。
以上が簡易チェッカーです。
漸近線はグラフを描く上で重要な指標になるので、常に考える癖を持ちましょう。
まとめ
今日のまとめをすると、
まとめ
漸近線は常に調べるべし。
漸近線を調べるためには、
- $$\lim_{x\to\infty}\left\{\frac{f(x)}{x}\right\} $$の極限の有無を調べてから、
- $$b=\lim_{x\to \infty} \left(f(x)-ax\right)$$の有無を調べれば良い。
また、不連続な点での極限を調べれば良い。
今日は長かったね!お疲れ様でした。
漸近線は極限の計算が必要なので、あまりしたくないかもしれませんが、常に「いるかも」と思っていてくださいね。
以上、「漸近線」についてでした。
チェック問題
例題
次の関数の中で漸近線を持つものはどれか。また、持つものは漸近線の方程式も求めよ。
- $$y=\sqrt{x-2}$$
- $$y=\frac{(x+1)^3}{x^2+2x}$$
- $$y=\sqrt[3]{(x-1)(x-2)^2}$$
[1]について
この関数の定義域は\(2≦x\)。
より、\(y\)軸に並行な漸近線はない。
より、傾き0の漸近線がある可能性がある。
このとき切片を求めるためには
を求めれば良い。
ところがこれは無限大に発散するため、極限値を持たない。
よって、この関数は漸近線を持たない。
[2]について
この関数は、定義域において\(x=0,-2\)のときのみ不連続となる。
よって\(y\)軸に平行な漸近線を持つ可能性があります。
$$\lim_{x\to -2+0} \frac{(x+1)^3}{x^2+2x} =\infty$$
$$\lim_{x\to -0} \frac{(x+1)^3}{x^2+2x} =-\infty$$
$$\lim_{x\to +0} \frac{(x+1)^3}{x^2+2x} =\infty$$
より、\(y\)軸に平行な漸近線\(x=0,-2\)を持つ。
また、
より、傾き1の漸近線を持つ可能性もある。
このとき切片を求めるためには
を求めれば良い。
これを計算すると極限値は1となり、これは切片を表したので、\(y=x+1\)が漸近線であることがわかる。
よって\(x=0,x=-2,y=x+1\)が漸近線。
[3]について
この関数で非連続な点はなさそうなので、\(y\)軸に平行な漸近線はないと思われる。
(※見切れている場合はスクロール)
より、傾き1の漸近線を持つ可能性がある。
このとき切片を求めるためには
を求めれば良い。
(※見切れている場合はスクロール)
よって、\(y=x-\frac{5}{3}\)を漸近線に持つ。