Today's Topic
$$\left(\log x\right)'=\frac{1}{x}$$
小春
対数微分がテストに出たけど、全く意味がわかんなかったよ泣。だいたいあんな物何に使うの?
対数微分の使い方は、主にグロい関数の微分に使われるよ。だけど、その公式導出までの流れを抑えると、数Ⅲの「極限」を求めるいい練習になるんだ。
楓
小春
じゃあ、今回は導出過程と使いかたを教えて欲しいな。
こんなあなたへ
「対数の微分公式が知りたい。」
「ログ微分の意味や使い方がわからない。。。」
この記事を読むと、この意味がわかる!
- \(\log x\)の導関数を、微分の定義から求めよ。
- 関数\(x^x\)の導関数を求めよ。
楓
対数の微分公式|対数の2つの微分公式
楓
自然対数の微分公式
$$\left(\log x\right)'=\frac{1}{x}$$
また底数がネイピア数の対数の微分法もご紹介しておきます。
対数の微分法
$$\left(\log_a x\right)'=\frac{1}{x\log_a x}$$
小春
こっちを微分しても、結果的に自然対数が出てくるの!?
対数関数の微分公式は、複雑な関数を微分するためのテクニックである対数微分法に用いられます。
そのためハイレベル数学になるほど、この重要性は高まります。
対数の微分公式|自然対数の微分公式の証明
\(f(x)=\log x\)としましょう。
自然対数の微分を考えるためには、導関数の定義に当てはめて
$$f'(x)=\lim_{h\rightarrow 0}\frac{\log\left(x+h\right)-\log\left(x\right)}{h}$$
を考えれば良いわけです。
最初にこの証明の手法を説明しておくと、ネイピア数\(e\)の定義
$$\lim_{n\rightarrow \infty}\left(1+\frac{1}{n}\right)^n=e$$
に帰着させることを目的にします。
楓
対数の性質を用いると、
\begin{align} f'(x) &= \lim_{h\rightarrow 0}\frac{\log\left(x+h\right)-\log\left(x\right)}{h}\\\ &= lim_{h\rightarrow 0}\left(\frac{1}{h}\times\left(\log\left(x+h\right)-\log\left(x\right)\right)\right)\\\ &= \lim_{h\rightarrow 0}\left(\frac{1}{h}\log\left(\frac{x+h}{x}\right)\right)\\\ \end{align}
(※見切れている場合はスクロール)
のように変形できますね。
ここから、意図的な式変形を3回行います。
まず以下の変形を用います。
意図的な式変形②
\(\frac{x+h}{x}=1+\frac{h}{x}\)
これにより、
\begin{align} f'(x) &= \lim_{h\rightarrow 0}\left(\frac{1}{h}\log\left(\frac{x+h}{x}\right)\right)\\\ &= \lim_{h\rightarrow 0}\left(\frac{1}{h}\log\left(1+\frac{h}{x}\right)\right)\\\ \end{align}
続いて
意図的な式変形③
\(\frac{1}{h}=\frac{1}{x}\times\frac{x}{h}\)
を行うと、
\begin{align} f'(x) &= \lim_{h\rightarrow 0}\left(\color{red}{\frac{1}{h}}\log\left(1+\frac{h}{x}\right)\right)\\\ &= \lim_{h\rightarrow 0}\left\{\color{red}{\frac{1}{x}\cdot\frac{x}{h}}\log\left(1+\frac{h}{x}\right)\right\}\\\ \end{align}
となります。
最後に
意図的な式変形④
\(\frac{h}{x}=\frac{1}{n}\)とおく。このとき、\(h\rightarrow0\)において\(n=\frac{x}{h}\rightarrow\infty\)となる
ので、
$$f'(x)=\frac{1}{x}\cdot\lim_{\color{red}{n\rightarrow \infty}}\left\{n\log\left(1+\frac{1}{n}\right)\right\}$$
となります。
小春
\(\frac{1}{x}\)は\(h\)の極限とは(変数hが含まれていないから)無関係だから、リミットの外に出してあげられるんだね!
ここで最後に、対数の性質
$$ r\cdot \log_a M=\log_a M^r $$
を使うと、
$$f'(x)=\frac{1}{x}\cdot\lim_{\color{red}{n\rightarrow \infty}}\left(\log\left(1+\frac{1}{n}\right)^n\right)$$
の形にすることができます。
一見複雑に見える変形を行ってきましたが、最初に述べたとおり、これらの変形は
ネイピア数に帰着させたい!
という意図のもと行っています。
ネイピア数の定義
$$\lim_{n\rightarrow \infty}\left(1+\frac{1}{n}\right)^n=e$$
ネイピア数について復習したい人はこちらを参考にしてください。
式変形した形と、ネイピア数の定義を見比べてみると、真数がネイピア数の定義とガッチリ一致します!
$$f'(x)=\frac{1}{x}\cdot\lim_{\color{red}{n\rightarrow \infty}}\left(\log \underbrace{\left(1+\frac{1}{n}\right)^n}_{\color{red}{eの定義}}\right)$$
よって、
\begin{align} f'(x) &= \frac{1}{x}\cdot\lim_{\color{red}{n\rightarrow \infty}}\left(\log\color{red}{\left(1+\frac{1}{n}\right)^n}\right)\\\ &= \frac{1}{x}\cdot\log e\\\ &=\frac{1}{x}\\\ \end{align}
(※見切れている場合はスクロール)
となります。
対数の微分公式|(一般的な)対数の微分公式の証明
続いて、一般的な対数
$$\log_a x$$
の微分公式を証明していきます。
自然対数の微分公式に帰着させるため、底の変換公式を活用します。
$$\log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}$$
これを利用して、自然対数に変換してみましょう。
$$\log_a x=\frac{\log x}{\log a}$$
よって、\(f(x)=\log_a x\)とすると、
\begin{align} f'(x) &= \left(\log_a x\right)'\\\ &= \left(\frac{\log x}{\log a}\right)'\\\ \end{align}
ここで分母\(\log a\)には\(x\)が含まれていないことに注意しましょう。
よって、
\begin{align} f'(x) &= \left(\log_a x\right)'\\\ &= \left(\frac{\log x}{\log a}\right)'\\\ &=\frac{\left(\log x\right)'}{\color{red}{\log a}}\end{align}
と変形することができ、
\(\left(\log x\right)'=\frac{1}{x}\)
だったので、
$$f'(x)=\frac{1}{x\cdot\log a}$$
という結果が得られます。
楓
わかっていることを使える形にすることがポイントだね。
対数の微分公式|まとめ
最後にまとめをしておきましょう。
まとめ
- 自然対数を微分するためには、ネイピア数に着目して式変形を行えば良い。
- 一般的な対数を微分するためには、自然対数に着目して式変形を行えば良い。
今回扱った対数関数の微分は、複雑な関数を微分する際にテクニックとして使うことができます。
が、もちろん対数関数の微分自体が問題になることも全然あるので、しっかりと抑えておきましょう。
以上「対数の微分公式と証明」についてでした。