Today's Topic
$$y=a^x$$
で表される関数を、指数関数という。ただし\(a>0, a\neq1\)とする。
このとき、\(a\)を底という。
この記事を読むと、この意味がわかる!
- なぜ指数関数では\(y=(-2)^x\)が、考えられないのか
- 指数関数で覚えておくべき性質
Contents
指数関数の定義
定義
\(a>0, a\neq1\)として、
$$y=a^x$$
で表される関数を、指数関数という。
このとき、\(a\)を底という。
この定義だと、
- \(a\)の値が0.〜
- \(a\)の値が1より大きい数
の2通りが考えられますが、
- \(a\)の値が負
- \(a\)の値が0
- \(a\)の値が1
の場合は、指数関数として考えないと言っています。
結論から言ってしまうと、そのほうが『人間の感覚にマッチした数学的に都合がいいから』です。
では指数法則をもとに、指数関数のイメージを身につけていきましょう。
【まえおき】指数法則の妥協
『ナゼ0乗が1になるのか』『ナゼ分数乗がルートになるのか』で解説した通り、高校数学から学ぶ数にはいくつかの妥協が存在します。
その妥協とは、結局のところ、3つの指数法則
$$a^x\times a^y = a^{x+y}$$
$$(a^x)^y = a^{xy}$$
$$(xy)^n =x^n y^n $$
を満たすように定義したため、必要になったのでした。
指数関数が定義できる底の条件
では指数関数が定義できる底の条件と、そのときのグラフについて解説します。
『どんな数\(x\)に対しても、対応する\(y\)の値が存在するかどうか』に着目してみましょう。
\(0<a<1\)
例として
をみてみましょう。
このとき、実数の指数法則を考えると、どんな実数を\(x\)に当てはめても、必ず対応する\(y\)の値が存在することがわかります。
実際グラフを見てみると、図のような連続な曲線を描いています。
aの値が0.〜のとき
\(1<a\)
例として
をみてみましょう。
実数の指数法則を考えれば、どんな実数を\(x\)に当てはめても、必ず対応する\(y\)の値が存在することがわかります。
グラフは先ほどと同様に連続的な曲線ですが、\(0<a<1\)の場合のグラフとは\(y\)軸対象になっていることが特徴です。
aの値が1より大きいとき
指数関数が定義できてない底の条件
ではここからは、なぜ
- \(a\)の値が負
- \(a\)の値が0
- \(a\)の値が1
の場合は、指数関数として考えないのか、を調べていきましょう。
前提として、関数への理解が必要になります。
関数って何ですか?と聞かれて説明できない方はぜひ復習しておいて下さい。
参考【関数とは】中学生でも大丈夫!曖昧にしがちな関数の特徴をしっかりマスターしよう
aが負のとき定義しない理由
ここでは、指数関数\(y=a^x\)の底\(a\)が負の数、つまり\(a<0\)でもOKだとしてみます。
例として、\(y=\left(-2\right)^x\)のときを考えてみましょう。
例えば、\(x\)が有理数\(x=\frac{m}{n}\)のときを調べると、
となりますね。
具体的に\(n=2, m=1\)のときを考えると、\(y=\sqrt{-2}\)となり考えることができません。
ただし、\(x\)が整数のときだけ考えることができます。
例えば\(x=3\)のとき、\(y=(-2)^x=-8\)のように。
でもグラフを調べてみると。。。
aが負のとき
グラフを見てみるとどうでしょう。非連続だし、形は複雑だし・・・。
そもそも連続的な\(x\)を考えている座標上では、\(x\)が整数のときしかとらない非連続的な関数なんて、扱いにくくて仕方ありません。
そこで、
ポイント
めんどくさいし価値もあまりないので、\(a<0\)のときは考えないものとしました。
メモ
文章に少し怪しさを感じたあなたは、とても理系脳です。
実は有理数のとき、複素数まで拡張すれば指数関数をもっと幅広く定義することはできます。
ただしそれは大学数学の『複素関数』にまたがってしまうので、とりあえずは・・・。
aが0のとき定義しない理由
ここでは、指数関数\(y=a^x\)の底\(a\)が、\(a=0\)でもOKだとしてみます。
例として、\(y=0^x\)のときを考えてみましょう。
すると、\(x=-1\)のとき\(y=0^{-1}=\frac{1}{0}\)となるため、\(x\)は整数の世界ですら考えることができなくなるのです。
つまり、\(y=0^x\)は\(x\)が正のときだけ考えることができ、グラフはこのようになります。
aが0のとき
グラフから、以下の性質がわかります。
- ずーっと0
- 負のときは考えらんない
- \(x=0\)のときは1とする立場とそうでない立場がある
- 直線なので、一次関数っぽい
ポイント
めんどくさいし価値もあまりないので、\(a=0\)のときは考えないものとしました。
また\(a\neq0\)とすることで、『指数関数は曲線だね』とまとめることもできるので、何かと都合がよろしいのです。
aが1のとき定義しない理由
ここでは、指数関数\(y=a^x\)の底\(a\)が、\(a=1\)でもOKだとしてみます。
例として、\(y=1^x\)のときを考えてみましょう。
すると、どんな実数\(x\)を当てはめても、対応する\(y\)の値が存在しますね。
以上のことから、\(y=a^x\)は\(x\)いつでも考えることができ、グラフはこのようになります。
aが1のとき
ずーーーーっと、1。
しかも直線です。
これを指数関数としてみなしても、あまり価値がありません。
ポイント
指数関数は曲線を描くと言いたいので、\(a=1\)のときは考えないものとしました。
以上、これまでみてきたように指数関数が\(0<x<1,1<x\)の場合でしか定義されていない理由は、結局
- めんどくさい
- 「グラフは曲線を描く」と言いたい
という、気持ちが込められているからなんですね。
まとめ
まとめ
- \(a>0, a\neq1\)として、$$y=a^x$$で表される関数を、指数関数という。このとき、\(a\)を底という。
- 指数関数は底が\(0<a<1,1<a\)のときしか定義されない。
- 底が\(0<a<1,1<a\)のときだけしか定義しないのは、連続性を常に満たすような曲線と定義したいため。
指数関数は今後も、ずーっと使う関数。
だからこそ、本質を重要視して理解していて欲しいです。
数Ⅲの極限では、指数関数の『値が爆発的に増える』と言う性質が大活躍する場面もあります。
ぜひ頭の片隅に入れておいてあげてください。
以上、「指数関数の定義とその性質について」でした。