Today's Topic
\(f(x),g(x)\)が微分可能なとき、
$$\left\{f(x)g(x)\right\}'= f'(x)g(x)+f(x)g'(x)$$
楓
今日は2つの関数が積で結ばれているときの微分公式を扱うよ。
\(\left(f(x)g(x)\right)'=f'(x)g'(x)\)じゃないの?
小春
楓
それが残念ながら違うんだ。しかもこの公式は微分公式で重要度No.1と言っても過言ではないんだ!
なるほどぉ、つまり絶対に間違うなってことね・・・。
小春
積の微分公式
2つの関数\(f(x),\ g(x)\)の積\(f(x)g(x)\)の微分は、次のようになります。
ポイント
\(f(x),g(x)\)が微分可能なとき、
$$\left\{f(x)g(x)\right\}'= f'(x)g(x)+f(x)g'(x)$$
覚え方のコツは、
です。
例題
\((x^2+1)\sin x\)を微分せよ。
(解答)
2つの関数\(f(x)=x^2+1,g(x)=\sin x\)の積とみなすと、
\(f'(x) = 2x, g'(x) = \cos x\)より、
$$\left((x^2+1)\sin x\right)' = 2x\sin x + (x^2+1)\cos x$$
(※見切れている場合はスクロール)
楓
積の微分公式の証明
積の微分法の証明には、独特な変形がいくつかあります。
しかし、どれも数学的によく使われるテクニックなので、一度自分の手で証明しておくとベストです!
証明
\(f(x)g(x)\)の導関数は、定義より
\begin{align} \left\{f(x)g(x)\right\}' &= \lim_{h\rightarrow 0}\frac{f\left(x+h\right)g\left(x+h\right)-f\left(x\right)g\left(x\right)}{h}\\\ \end{align}
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で求められる。
ここで、分子を次のようにあえて変形する。
\begin{align} & \ \ \ \ \ \ f\left(x+h\right)g\left(x+h\right)-f\left(x\right)g\left(x\right)\\\ &= f\left(x+h\right)g\left(x+h\right)\color{red}{-f(x)g(x+h)+f(x)g(x+h)}-f\left(x\right)g\left(x\right)\\\ &= \left(f\left(x+h\right)-f(x)\right)g\left(x+h\right)+\left(g(x+h)-g\left(x\right)\right)f\left(x\right)\\\ \end{align}
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ポイント
式\(A-B\)について考えるとき、
$$(A-C) + (C-B)$$
のように、無理やりCを作ることで式が考えやすくなることがある。
楓
\(-C + C = 0\)だから式の整合性はOKなんだ!
よって、
\begin{align} & \ \ \ \ \ \ \frac{f\left(x+h\right)g\left(x+h\right)-f\left(x\right)g\left(x\right)}{h} \\\ &= \frac{\left(f\left(x+h\right)-f(x)\right)g\left(x+h\right)+\left(g(x+h)-g\left(x\right)\right)f\left(x\right)}{h}\\\ &= \frac{f\left(x+h\right)-f(x)}{h}g\left(x+h\right)+\frac{g(x+h)-g\left(x\right)}{h}f\left(x\right)\\\ \end{align}
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なので、
\begin{align} & \ \ \ \ \ \ \lim_{h\to 0}\frac{f\left(x+h\right)g\left(x+h\right)-f\left(x\right)g\left(x\right)}{h} \\\ &= \lim_{h\to0}\frac{f\left(x+h\right)-f(x)}{h}g\left(x+h\right)+\lim_{h\to0}\frac{g(x+h)-g\left(x\right)}{h}f\left(x\right)\\\ \end{align}
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小春
それぞれの極限を計算していきましょう。
$$\lim_{h\rightarrow 0}\frac{f\left(x+h\right)-f(x)}{h}=f'(x)\ \ (微分の定義)$$
$$\lim_{h\rightarrow 0}g\left(x+h\right)=g(x)$$
$$\lim_{h\rightarrow 0}f\left(x\right)=f(x)\ \ (f(x)はhの関数ではない)$$
$$\lim_{h\rightarrow 0}\frac{g\left(x+h\right)-g\left(x\right)}{h}=g'(x)\ \ (微分の定義)$$
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これにより、
$$\left\{f(x)g(x)\right\}'= f'(x)g(x)+f(x)g'(x)$$
が得られます。
まとめ
積の微分公式は、その証明に独特な変形を持つことから、数学基礎力アップのための練習問題として最適です。
特に
$$(A-C) + (C-B)$$
のように、無理やりCを作るという手法は、大学数学や入試でも登場するテクニック。
ぜひ押さえたいところです。
またこの公式さえ覚えておけば、教科書に掲載されているいくつかの微分公式は覚えなくてOK。
特に商の微分公式は覚えるよりも、導出した方がラクな気がします。
以上、「積の微分公式」についてでした。