Today's Topic
\(a^{無理数}\)は、近くの\(a^{有理数}\)の極限(近似)で定義する
参考【整数の指数法則】なぜ0乗が1なのか、息をするようにわかる指数法則
参考【有理数の指数法則】なぜ分数乗がルートになるのか、寝ててもわかる指数法則
この記事を読むと、この意味がわかる!
- \(2^{\sqrt{3}}\)をどう考えるのか
- 実数全体で指数法則が成り立つと、何が嬉しいのか
指数法則は無理数でも成り立つか
ここでは、指数をここまで拡張します。
(※見切れている場合はスクロール)
これまでのように、指数が無理数のときでも指数法則が成り立つと仮定して証明しようとしても、証明することはできません。
ここでは、例として、
について考えていきましょう。
無理数(永遠に続く小数)の近くには、有理数(ピタッと止まる小数)がある
例えば、
\(\sqrt{2}=1.414213\cdots\)
の近くにある有理数としては、
(※見切れている場合はスクロール)
などが考えられます。
このように考えると、
(※見切れている場合はスクロール)
は次第に\(2^{\sqrt{2}}\)に近い値になっていってるということが感覚的にわかります。
実際に調べてみましょう。
\(r\) | \(2^r\) |
\(1\) | \(2\) |
\(1.4\) | \(2.63901582154579\) |
\(1.41\) | \(2.65737162819302\) |
\(1.414\) | \(2.66474965018404\) |
\(1.4142\) | \(2.66511908853235\) |
\(1.41421\) | \(2.6651375617942\) |
\(1.414213\) | \(2.66514310379772\) |
\(1.4142135\) | \(2.66514402746609\) |
表から分かる通り、指数\(r\)の取り方をどんどん細かくして行くと\(2^{\sqrt{2}}\)はある一定の値に近づいています。
この一定の値を無理数乗の値として定義します。
つまり\(2^{\sqrt{2}}=2.66514~\)ってことね。
無理数乗の定義
先ほど紹介した定義を、もう少しだけ一般的にいうのであれば
\(a^{無理数}\)は、近くの\(a^{有理数}\)の極限(近似)で定義する
となります。
そう、数Ⅲで扱う極限が必要になるわけです。
そしてもう1つ、先ほどの定義ではかなり曖昧な点がありました。
それは・・・
一定の値に近づくのか問題
(※見切れている場合はスクロール)
は次第に\(2^{\sqrt{2}}\)に近い値になっていってるということが感覚的にわかります。
と紹介しましたが、数学は感覚的ではいけません。
ホントにこれらの数が、ある一定の値に近づいているのか証明する必要があります。
実はこの証明は、大学数学の『上に有界である増加数列は収束する』という定理を使用して証明します。
要は一定の値に近づく、ということが証明できるということです。
とりあえず高校数学までは、
ポイント
「まぁ最後怪しいが、実数範囲でも指数法則は成り立つらしい」
と覚えておけばOKです。
指数法則|まとめ
まとめ
指数法則
- \(a^x\times a^y = a^{x+y}\)
- \((a^x)^y = a^{xy}\)
- \((xy)^n =x^n y^n \)
について、
- \(a^0=1,a^{-n}=\frac{1}{a^n}\)を認める(定義する)
\(\iff\)指数が整数でも成り立つ - \(a^{\frac{m}{n}}=\sqrt[n]{a^m}\)を認める(定義する)
\(\iff\)指数が有理数でも成り立つ - \(a^{無理数}\)は\(a^{有理数}\)の極限と定義する
\(\iff\)指数が実数でも成り立つ
この流れるような拡張を意識できている人は、あまりいないように思います。
え、こんなめんどくさいことしてどうなるの?
と思った方は、眠れる理系のセンスがあります。
実はこのように、いつでも指数(法則)が成り立つことから、指数関数というグラフを考えることができるようになりました。
今回扱った流れを意識しておけば、指数関数も簡単に理解できますよ。
以上、「実数の指数法則」でした。