Today's Topic
無限数列\(\{a_n\}\)の無限級数$$\sum_{n=1}^{\infty} a_n$$を調べるためには、
- 第\(n\)項までの部分和\(S_n\)を求め、
- $$\lim_{n\to\infty} S_n$$を考えれば良い。
このとき、\(S_n\)の極限値のことを、無限級数の和と呼ぶ。
この記事を読むと、この意味がわかる!
次の無限級数の収束・発散を調べ、収束する場合にはその和を求めよ。
- $$\sum_{k=1}^{\infty} \frac{1}{\sqrt{k}+\sqrt{k+1}}$$
- $$\sum_{k=1}^{\infty} \left(\frac{2}{3}\right)^k$$
無限級数とは
無限数列\(\{a_n\}\)について、各項の和
を無限級数といい、
のように表します。
ところで、\(\{a_n\}\)の初項から第\(n\)項までの和を\(S_n\)と表現しますね。
無限級数を考えてみると、
のように、全ての項の和の一部分だけを表しているため、\(S_n\)は部分和と言われます。
\(S_1\)は初項、\(S_2\)は初項から第2項までの和、\(S_n\)は初項から第\(n\)項までの和を表しています。
では
は、何を表しているでしょうか。
つまり
と変形できるので、
ということが分かります。
無限級数を求めるコツ
先ほど得られた
を日本語訳してみると、次のようになります。
ポイント
無限数列\(\{a_n\}\)の無限級数を調べるためには、
- 第\(n\)項までの部分和\(S_n\)を求め、
- $$\lim_{n\to\infty} S_n$$を考えれば良い。
例を見てみましょう。
例題
$$\sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n(n+1)}$$
step
1部分和\(S_n\)を求めよう。
まず、部分和である
を求めてみます。
部分分数分解を用いると、
(※見切れている場合はスクロール)
と求められます。
step
2部分和\(S_n\)の極限を求めよう。
\(k\to\infty\)のときを考えると、
よって、
無限級数の収束
上の例では、無限級数が1に収束しましたね。
これは部分和\(S_n=1-\frac{1}{k+1}\)が作る数列
が1に収束することを表していました。
\(S_n\)が1に収束するとき、極限値1のことを無限級数の和と呼びます。
無限級数が収束するかどうかは、実際に調べてみないと分かりませんが、無限級数の性質を利用すると「収束するのかどうか」をある程度判断することができます。
それは「【無限級数の収束・発散条件】無限級数を見ただけで解答が思い浮かぶテクニック」にて紹介します。
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【無限級数の収束・発散条件】無限級数を見ただけで解答が思い浮かぶテクニック
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まとめ
まとめ
無限数列\(\{a_n\}\)の無限級数$$\sum_{n=1}^{\infty} a_n$$を調べるためには、
- 第\(n\)項までの部分和\(S_n\)を求め、
- $$\lim_{n\to\infty} S_n$$を考えれば良い。
このとき、\(S_n\)の極限値のことを、無限級数の和と呼ぶ。
無限級数の単元は、8割程度数が数Bの数列の内容になります。
言葉の定義が若干めんどくさいものの、解法で詰まった場合などは数Bの数列を復習するといいですよ。
以上、「無限級数について」でした。
チェック問題
例題
次の無限級数の収束・発散を調べ、収束する場合にはその和を求めよ。
- $$\sum_{k=1}^{\infty} \frac{1}{\sqrt{k}+\sqrt{k+1}}$$
- $$\sum_{k=1}^{\infty} \left(\frac{2}{3}\right)^k$$
メモ
無限級数が収束する場合、部分和\(S_n\)の極限値に収束します。
この場合、\(S_n\)の極限値のことをその無限級数の和と呼ぶため、問題にある「その和を求めよ」とは、結局、部分和\(S_n\)の極限を求めてくださいと言っているだけです。
部分和から求める。
(※見切れている場合はスクロール)
よって、
$$\lim_{n\to\infty} \left(\sqrt{n+1}-1\right)=\infty$$
より、この無限級数は発散する。
無限数列\(\left(\frac{2}{3}\right)^n\)は等比数列なので、部分和\(S_n\)は
(※見切れている場合はスクロール)
よって、この無限級数は収束し、その和は2である。