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特定の条件で値が切り替わるとき、場合分けをすれば良い。
どんな条件でも値が一定ならば、場合分けは必要ない。
こんなあなたへ
「二次関数の場合分けって何?」
「場合分けの必要性と、するべき適切なタイミングがわからない」
この記事を読むと・・・
- 場合分けしなきゃいけない場面をしっかり把握することができるようになる。
- 場合分けの仕方がわかるようになる。
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秒速理解!二次関数でよく使う変形と、使う意味や場面をまとめました!
Contents
二次関数で学ぶ場合分け|二次関数の性質
中学校の時に習った二次関数のベースである\(y=ax^2\)。
この二次関数が描く放物線を
- \(x\)軸方向に\(+p\)
- \(y\)軸方向に\(+q\)
だけ平行移動したとき、その放物線の方程式は\(y-q=a(x-p)^2\)と表せるのでした。
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グラフを見てもらえばわかる通り、二次関数の描く放物線は線対称になっている面白い形をしています。なお、線対称の対称軸となっている\(x=0\)(\(y\)軸)と\(x=p\)は放物線の軸と呼ばれます。
二次関数において場合分けが必要な理由は、この放物線という形に原因があります。
下の図を見てください。
このグラフにおいて、高さが最も低い点は間違いなく原点\(O(0,0)\)でしょう。
しかし、高さが最も高い点は、この放物線がどこまでも続くので、一生求められません。
ところが、例えば\(-2≦x≦-1\)の範囲に限定して、グラフを見てみるとどうでしょう。
高さが最も高い点は\(A(-2,4)\)で、最も低い点は\(B(-1,1)\)となります。
では範囲を変えて、\(-1≦x≦1\)のときはどうでしょうか。
高さが最も高い点は\(B(-1,1),C(1,1)\)で、最も低い点は\(O(0,0)\)となります。
このように、いくつかの条件が考えられて、その条件によって答えが異なる場合に場合分けが必要となります。
その理由は簡単、一気に答えを求められないためです。
という意見は一見正しいようにも聞こえますが、\(-2≦x≦-1\)の範囲では不正解ですよね。
ポイント
どんな条件でも答えが1つなら場合分けは必要ありませんが、特定の条件で答えが変化するようであれば積極的に場合分けしていきましょう。
二次関数で学ぶ場合分け|最大値最小値が変わる場面
先ほど、
\(x\)の範囲によって、\(y\)の最大値と最小値が異なるため場合分けが必要
と説明しました。
定義域の幅だったり、場所によって\(y\)の最大値・最小値は確かに異なりますね。
ちなみに
- \(x\)の範囲のことを定義域
- \(y\)の最大値と最小値の値の幅を値域
といいます。合わせて覚えておきましょう。
放物線の場合分け問題は、応用しようと思えばいくらでもできます。
例えば定義域ではなく放物線が動く場合とか、定義域の幅を広げたり縮めたりするとか。
ですがこの定義域が動くパターンをマスターしておけば、場合分けの基礎はしっかり固まります。
二次関数で学ぶ場合分け|二次関数の場合分けのコツ
先ほどご紹介したパターンの場合分け問題は、定義域が動くという特徴があります。
放物線の場合、
- 頂点に着目して考えること
- 最大値と最小値を分けて考えること
で、圧倒的に考えやすくなります。
定義域が動く場合の場合分け
例題
放物線\(y=x^2+2\)の定義域が、長さ1で次のように変動するとき、それぞれの最大値・最小値を求めなさい。
では、定義域の条件ですが任意の実数\(a\)を用いて\(a≦x≦a+1\)と表せます。
ポイント
定義域が動くことを表現するためには、\(a≦x≦a+1\)のように任意の実数\(a\)を、\(x\)の最大値もしくは最小値に含めれば良い。
逆に\(a≦x≦a+1\)のように表されている場合、「定義域が動く」ということを示している。
定義域\(a≦x≦a+1\)では\(x=a\)が左端の\(x\)座標、\(x=a+1\)が右端の\(x\)座標を表しています。
すなわち下の図の場合は、\(x=a\)のとき最大値、\(x=a+1\)のとき最小値になるということです。
step
1まずは最大値から考える。
ではまず最大値に着目して考えていきましょう。
\(x=a,x=a+1\)がどちらも負のとき、最大値は当然\(x=a\)のときですね。
しばらくは\(x=a\)のとき最大値を取るのですが、頂点を越えだしたあたりから\(x=a+1\)のときの\(y\)座標が上昇を始めます。
そして、\(x=a,x=a+1\)の真ん中に頂点が存在するとき、両者の\(y\)座標は等しく、そして最大値となります。
\(x=a,x=a+1\)の真ん中に頂点が存在するということは、
$$\frac{a+(a+1)}{2}=0(原点のx座標)$$
を計算して、\(a=-\frac{1}{2}\)のときに両者の高さが等しくなることわかります。
そしてさらに\(a\)の値が大きくなると\(x=a,x=a+1\)の\(y\)座標の上下関係が逆転し、\(x=a+1\)のとき最大値となります。
以上のことから、最大値に関しては
- \(a<-\frac{1}{2}\)のとき、\(x=a\)で最大値\(a^2+2\)をとる
- \(a=-\frac{1}{2}\)のとき、\(x=a,a+1\)で最大値\(\frac{1}{4}+2=\frac{9}{4}\)をとる。
- \(-\frac{1}{2}<a\)のとき、\(x=a+1\)で最大値\(\left(a+1\right)^2+2\)をとる。
の3パターンがあることがわかりました。
step
2次に最小値を考える。
次に最小値を考えましょう。
先ほどと同じ順番で考えると、\(x=a,x=a+1\)がどちらも負のとき、最小値は\(x=a+1\)のときです。
ですが\(x=a+1\)のときの点が、頂点を超えると次第に上昇するため、グラフの最小値は頂点に切り替わります。
そして、\(x=a\)が頂点を通過するまでは最小値はずっと頂点となります。
しかし、\(x=a\)が頂点を通過すると最小値は\(x=a\)のときに切り替わります。
このように
- 定義域内に頂点が含まれていない場合、頂点に近い方が最小値になる。
- 定義域内に頂点が含まれている場合、頂点が最小値になる。
ということがわかります。また最小値に関しては
- \(a<-1\)のとき、\(x=a+1\)で最小値\(\left(a+1\right)^2+2\)をとる
- \(a≦0かつ-1≦a\)のとき、\(x=0\)(頂点)で最小値2をとる。
- \(0<a\)のとき、\(x=a\)で最小値\(a^2+2\)をとる。
の3パターンがあることがわかりました。
step
3最大値、最小値を同時に考える。
さて、最後に最大値と最小値の条件を合体させて考えていきます。
- \(a<-\frac{1}{2}\)のとき、\(x=a\)で最大値\(a^2+2\)をとる
- \(a=-\frac{1}{2}\)のとき、\(x=a,a+1\)で最大値\(\frac{1}{4}+2=\frac{9}{4}\)をとる。
- \(-\frac{1}{2}<a\)のとき、\(x=a+1\)で最大値\(\left(a+1\right)^2+2\)をとる。
- \(a<-1\)のとき、\(x=a+1\)で最小値\(\left(a+1\right)^2+2\)をとる
- \(-1≦a≦0\)のとき、\(x=0\)(頂点)で最小値2をとる。
- \(0<a\)のとき、\(x=a\)で最小値\(a^2+2\)をとる。
\(a\)の定義域に着目して、
①\(a<-1\)のとき、\(x=a\)で最大値\(a^2+2\)、\(x=a+1\)で最小値\(\left(a+1\right)^2+2\)をとる。
②\(-1≦a<-\frac{1}{2}\)のとき、\(x=a\)で最大値\(a^2+2\)、\(x=0\)(頂点)で最小値2をとる。
③\(a=-\frac{1}{2}\)のとき、\(x=a,a+1\)で最大値\(\frac{9}{4}\)、\(x=0\)(頂点)で最小値2をとる。
④\(-\frac{1}{2}<a≦0\)のとき、\(x=a+1\)で最大値\(\left(a+1\right)^2+2\)、\(x=0\)(頂点)で最小値2をとる。
⑤\(0<a\)のとき、\(x=a+1\)で最大値\(\left(a+1\right)^2+2\)、\(x=a\)で最小値\(a^2+2\)をとる。
となります。
二次関数で学ぶ場合分け|場合分けをしたくなるポイントと場合分けのコツ
このように、二次関数の場合分けは最大値と最小値で分けて考えることで考えやすくなりました。
これも一種の場合分けと見なせます(最大値となる場合と、最小値になる場合)。
繰り返しになりますが、場合分けはどんな条件でも答えが1つなら必要ありません。
特定の条件で答えが変化するとき、場合分けしていきましょう。
例題でも何度か登場した、「最大値(最小値)が切り替わる」という表現は、この考え方に当てはまります。
特定の条件で値が切り替わるようであれば、それが場合分けのタイミングなので逃さないようにしましょう。
場合分けのコツ
値が切り替わるような場面に遭遇したら、場合分けをすればいい。
二次関数で学ぶ場合分け|まとめ
最後に重要なポイントを書いておこう!
まとめ
- 場合分けをするためには、特定の条件で最大値などの値が切り替わる場面を切り分ければ良い。
- 場合分けによる最大値と最小値を簡単に求めるためには、最大値の場合分けと最小値の場合分けを切り分けて考えれば良い。
今回は二次関数を例題に扱いましたが、場合分けは数学の様々な場面で頻繁に登場します。そして二次関数はその中でも場合分けのいい例題を作りやす題材です。
そのため二次関数には今回取り扱ったもの以外にも、様々な場合分けが存在します。
しかしどんな問題でも、「値が特定の条件で切り替わる」ときに場合分けをするという感覚を大切にしてください。
以上、「場合分けの極意」でした。