Today's Topic
関数\(f(x)\)の定義域\(a≦x≦b\)における面積は、
$$ \lim_{h\rightarrow \infty} \sum_{k=1}^h f(\frac{5}{h}\times k)\cdot \frac{5}{h} = \int_0^5 f(x)\ dx$$
この記事を読むと、この意味がわかる!
- 定積分がなぜ面積を表すことになるのか
そもそも面積とは何か
面積の導入として初めて触れるのは、タテ\(\times\)ヨコの長方形の面積です。
この公式は、長方形の中に面積1の単位正方形がいくつか、を数えることで面積を求めるという発想です。
しかし長方形は線分だけで囲まれた図。
曲線の場合だと、同じように単位正方形がいくつ分かを数えることが難しくなります。
具体的な例を見てみましょう。
図の斜線部のような、区間\(0≦x≦5\)において関数\(f(x)\)と\(x\)軸とで囲まれた面積を考えます。
単位正方形を用いて、斜線部の面積を求めてみようとすると。。。
というわけで、これまでのように『単位正方形いくつ分か』だけでは求めることができません。
そこで”面積”の捉え方を、変える必要があるわけです。
面積を求める発想|無限個の長方形で刻む
そこで次は、正方形ではなく長方形で考えてみることにしましょう。
区間\(0≦x≦5\)の曲線\(f(x)\)が\(x\)軸と作る面積を、長方形に分割して表してみることにします。
では\(0≦x≦5\)区間の面積を、50個の長方形で分けてみるとどうでしょうか。
では、200個に分割してみましょう。
区分求積法
ここで長方形の面積について考えてみましょう。
関数\(f(x)\)は、\(x=a\)のとき\(y\)座標を\(f(a)\)と表すことができました。
区間\(0≦x≦5\)を、適当な長さ\(h\)で等分すると、図のように考えることができますね。
長方形1つの面積はタテ\(\times\)ヨコなので、
- 1つ目の長方形の面積:\(f(\frac{5}{h})\cdot \frac{5}{h}\)
- 2つ目の長方形の面積:\(f(\frac{5}{h}\times2)\cdot \frac{5}{h}\)
- 3つ目の長方形の面積:\(f(\frac{5}{h}\times3)\cdot \frac{5}{h}\)
- 4つ目の・・・・
- \(k\)個目の長方形の面積:\(f(\frac{5}{h}\times k)\cdot \frac{5}{h}\)
と考えられます。
長方形は\(h\)本できるので、それら全ての面積をシグマを使って表すと
(※見切れている場合はスクロール)
となりますね。
\(h\rightarrow \infty\)とすると、幅\(\frac{5}{h}\)がほぼ0に近いような細い長方形、つまり無限本の長方形に分割できます。
200本の長方形に分けただけでもほぼ曲線の面積に近かったのですが、無限本に分割すれば、曲線の面積に究極的に近くなるというわけです。
つまり
は、区間\(0≦x≦5\)における関数\(f(x)\)と\(x\)軸で囲まれた面積を表していると考えてOKというわけ。
まとめると、このような見方をしているわけです。
(※見切れている場合はスクロール)
は曲線の面積と等しい(とみなせる)。
このような面積の求め方を区分求積法と言います。
ただ毎回このように記述するのは面倒ですし、数学アレルギーの人は3時間ぐらい嘔吐してしまいます。
そこで、
とちょっとだけ簡単に表現するようにしました。
つまり
というわけです。
ちなみに\(dx\)のように、\(d\)がつくものは一般的に『限りなく0に近い』を意味します。
積分の計算方法の発見
この『無限個の長方形を足すことで曲面の面積を求めよう』という考え方は、紀元前の頃からありました。
しかし、
と表せたところで、面積が求められなければただのニックネームにすぎません。
それから長い時を経て、1600年代になりついにこの計算方法が確立されます。
それはとんでもなくぶっ飛んだことの発見につながりました。
区間が\(p\)から\(x\)までの面積を考えてみましょう。ここでは、
$$F(x)=\int_p^x f(x)\ dx$$
と表します。
区間が\(h\)だけ伸びた\(p\)から\(x+h\)までの区間において、面積の変化量を考えてみます。
これまでの流れで行くと、増加分\(h\)の値が小さいほど、増加する面積は長方形と同じとみなせるようになります。
そこで、\(h\)が超小さいと仮定して、面積の増加量分が長方形の面積分程度だとすると、
と考えられます。
このときはまだ、\(h\)が超小さいと仮定しているだけ。
これをさらに細かくするために\(h\rightarrow 0\)としてあげます。
すると、面積の増加量分と、長方形の面積は同じ(とみなすことができるよう)になります。
ここで両辺に\(\frac{1}{h}\)をかけましょう。
すると、
となります。
なんと色々試行錯誤した結果、面積\(F(x)\)を微分すると曲線の関数\(f(x)\)になることがわかりました。
3に2足して2引くと、3に戻る。
4に5かけて5割ると、4に戻る。
それと同じように、\(f(x)\)を積分した\(F(x)\)を微分すると、\(f(x)\)に戻るというわけです。
つまり
ポイント
関数\(f(x)\)の積分を計算するためには、微分して\(f(x)\)になるような原始関数\(F(x)\)を考えれば良い。
ということがわかりました。
以上のことから、
- 原始関数を考えるような計算特化の科目→不定積分
- 面積を考えるような幾何学特化の科目→定積分
とそれぞれ別々に発展していきました。
まとめ
まとめ
積分は「無限個の長方形に分割する」という考え方(区分求積法)を使っている。
区分求積法で面積を表すためには、
- 一定区間を\(h\)分割し、
- 幅\(\frac{1}{h}\)の長方形の面積を、それぞれ文字で表し、
- その総和をシグマで表現し、
- \(h\)を\(h\to \infty\)とし、無限分割の面積の総和を考えれば良い。
高校数学の教科書では、よくこの原理原則がぶっ飛ばされたまま、積分がただの計算問題となり果てます。
数百年の時を経て発見された『積分は微分の逆演算』という最強の法則が、これからどんどん発展していきます。
また数Ⅲでは、この区分求積法を利用して極限の問題に応用したりすることも可能です。
まずは区分求積法が何を意図しているのかを、じっくり味わってみてください。
今日はここまで、以上「積分の本質について」でした。