Today's Topic
$$\lim_{x\to 3} \frac{\sqrt{x+1} - k}{x-3}$$が有限な値になるような定数\(k\)の値を求めよ。
教科書の回答
分母に着目すると、$$\lim_{x\to 3}(x-3)=0$$なので、分子も0に収束することが必要条件である。・・・



この記事を読むと、この意味がわかる!
- $$\lim_{x\to 3} \frac{\sqrt{x+1} - k}{x-3}$$が有限な値になるような定数\(k\)の値を求めよ。
- $$\lim_{x\to \frac{\pi}{2}} \frac{\cos x}{ax+b} = \frac{1}{3}$$が成り立つとき、定数\(a,\ b\)の値を求めよ。

分数関数の極限値が存在するためには・・・?
教科書の回答は、次の事実に基づいて記述されてます。
ポイント
分数関数\(\frac{f(x)}{g(x)}\)について、$$\lim_{x\to a} \frac{f(x)}{g(x)}=k$$つまり一定の値に収束するとき、
- \(g(x) \underset{x\to a}{\longrightarrow} 0\)ならば、\(f(x)=\frac{f(x)}{g(x)}\cdot g(x) \underset{x\to a}{\longrightarrow} k\cdot 0 = 0\)
- \(f(x) \underset{x\to a}{\longrightarrow} 0\)かつ\(\frac{f(x)}{g(x)}\)が0以外に収束するならば、\(g(x)=\frac{1}{\frac{f(x)}{g(x)}}\cdot f(x) \underset{x\to a}{\longrightarrow} \frac{1}{k}\cdot 0 = 0\)

分数関数収束の必要条件❶
例題を通して考えてみましょう。
例題
$$\lim_{x\to 3} \frac{\sqrt{x+1} - k}{x-3}$$が有限な値になるような定数\(k\)の値を求めよ。また、その有限な値はいくらか。
この問題に「有限な値になるように」とあるので、「与えられた分数関数がある有限な値に収束する」という前提で考えてみます。
この値を\(a\)としてみましょう。
この条件を見てみると、分母\(x-3\)は0に収束していることがわかります。

ここで分子に、次のような意図的な変形を施します。

ここで分子の極限を考えてみると、分数関数は\(a\)に、\(x-3\)は0に収束するため、極限の分配法則極限の分配法則を適用できます。
(※見切れている場合はスクロール)
よって、与えられた分数関数が収束し、かつ分母も収束0にするならば、分子も0に収束するということがわかりました。
命題の単元で学習した通り、「pならばq」という命題に対して、qはpの必要条件と呼ばれます。
つまり、「与えられた分数関数が収束する」「分母が0に収束する」という問題の条件に対して、「分子が0に収束する」は必要条件と言うことになりますね!

分子は0に収束するらしいので、
を解いてみると、
となります。これを与式に代入してあげると、
(※見切れている場合はスクロール)
となり、答えは\(\frac{1}{4}\)であることがわかりました。
分数関数収束の必要条件❷
もう一問だけ、見てみることにしましょう。
例題
$$\lim_{x\to \frac{\pi}{2}} \frac{\cos x}{ax+b} = \frac{1}{3}$$が成り立つとき、定数\(a,\ b\)の値を求めよ。

結論から言ってしまうと、分母が収束するにしろ、分子が収束するにしろ、分数関数の収束条件は変わりません。
先ほど分子に施した処理と同じように、今度は分母から無理やり分数関数を作り出してみます。
注意
ただしこの式変形を行う際、与えられた分数関数が分母になっていることに着目しましょう。
分母が0に収束する場合、結局不定形となりこの手法は使えなくなるので、与えられた分数関数が0以外に収束することを確かめた上で使いましょう!
もちろん前提条件より、\(\frac{\cos x}{ax+b}\)は\(\frac{1}{3}\)に、\(\cos x\)は0に収束することがわかっているので、こちらも極限の分配法則が使えますね!

よって、\(ax+b \underset{x\to \frac{\pi}{2}}{\longrightarrow} 0\)より
が、最も簡単な必要条件となりますね。


このままだと不定形になってしまうので、\(t=2x-\pi\)とおいて処理していきます。
\(x\to \frac{\pi}{2}\)のとき、\(t\to 0\)なので、

以上より、
とわかるので、\(a=-3,\ b=-\frac{3}{2}\pi\)となりましたね!
まとめ

注意ポイント
分数関数が有限な値に収束するためには、
- 分母が0に収束するならば、分子も収束することが必要
- 分子が0に収束し、分数関数自体は0以外に収束するならば、分母も0に収束することが必要
という条件を使えば良い。
まとめではとりあえず2つ書きましたが、今回のように2つ目の事実は、結局1つ目の事実を応用して導くことができるので、結局1つ目だけ覚えておけばOKです。
いつも言いますが、「分子も0になることが必要条件」というのを覚えるのではなく、「なぜ必要条件になっているのか」をしっかり説明できるようになったほうが、結果としてはラクですよ。
以上、「分数関数が収束するための必要条件」についてでした。