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指数関数のグラフを思い浮かべるときには、
- \(x\)の値の変化によって、\(y\)の値が急増、緩減すること
- 0以下にならないこと
- 必ず1を通ること
- 底が逆数になると\(y\)軸対象になること
- 底が大きくなると\(y\)軸寄りに、小さくなると直線\(y=1\)に近づくこと
- 対数関数と\(y=x\)において線対称であること
の6つの性質を思い浮かべれば良い。
この記事を読むと、この問題が秒で解ける!
- \(x=3.453\)のとき、次の中で最も小さくなる数はどれか
$$\left(\frac{14}{13}\right)^x -1, \ \left(\frac{21}{17}\right)^x -1, \ \left(\frac{24}{15}\right)^x -1, \ $$
(※見切れている場合はスクロール)
- \(t=2^x\)とする。このとき、\((t+1)(t-4)=0\)を満たす\(x\)の値を求めよ。
Contents
指数関数のグラフ
\(y = 2^x\)や\(y=\left(\frac{1}{3}\right)^x\)のように表される関数を指数関数といいます。
明確な定義は次のとおりです。
指数関数の定義
\(a>0, a\neq1\)として、
$$y=a^x$$
で表される関数を、指数関数という。
このとき、\(a\)を底という。
注意して欲しいのは、この定義では\(a\)の値が負のときや、0、1になるときは考えないことが前提になっています。
参考【指数関数の定義】なぜ底が負のときは定義しないのか→ダルいから
この定義を念頭に置いた上で、例えば指数関数\(y=2^x\)のグラフは次のようになります。
\(y=2^x\)のような
を満たす指数関数を、『指数関数のベース』として捉えておきましょう。
そうすることで、グッと理解がしやすくなります。
指数関数のグラフの特徴
それでは指数関数の特徴を1つずつ見ていくことにしましょう。
ここでは具体例として、\(y=2^x\)を見ていきましょう。
\(x\)の値の変化によって、\(y\)の値が急増、緩減すること
指数関数\(y=2^x\)をはじめとする、指数関数のベースはみな、\(x\)の値が大きくなるほど\(y\)の値が大きくなり、\(x\)の値が小さくなるほど\(y\)の値も0に近づいています。
グラフの形で特徴的なのは、\(y\)の値の増え方はグニ〜ンと急激に増加しているのに対して、\(y\)の値の減り方はかなり緩やかです。
例えば\(y=2^x\)において、\(x=3\)のときは\(y=2^3=8\)なのに対して、\(x=4\)のときは\(y=2^4=16\)と、\(x\)の値は1しか違わないのに値は2倍になっていきます。
対して、\(x=-2\)のときは\(y=2^{-2}=\frac{1}{4}\)、\(x=-3\)のときは\(y=2^{-3}=\frac{1}{8}\)と、その差は0.125しか違いません。
0以下にならない
グラフを見てみると、\(x\)の値が減るに従って、\(y\)の値がどんどん0に近づいていることがわかります。
コンピュータで書いたグラフでは、あたかも\(y=0\)、つまり\(x\)軸に触れているように見えますが、指数関数のベースは絶対に\(x\)軸とは接触しません。
これは指数について考えてみれば当然ですが、\(y=2^x\)の\(x\)にどんな値を代入しても、\(y\)の値を0にすることはできませんよね?
ちなみに指数関数は、\(x\)の値が大きなるほど、\(y\)の値は無限大に増加します。
必ず1を通ること
指数法則では、0乗のときに結果をもれなく1にすることを定義としました。
参考【整数の指数法則】なぜ0乗が1なのか、息をするようにわかる指数法則
指数関数の\(x\)の値は実数なので、当然0を取ることにもなります。
よって、\(x=0\)のときにベースの指数関数は必ず\(y=0\)となることが決まります。
底が逆数になると\(y\)軸対象になること
指数関数のベース、例えば\(y=2^x\)における数2のことを『底』といいますが、この底が逆数になった指数関数\(y = \left(\frac{1}{2}\right)^x\)のグラフを見てみましょう。
このように底が逆数になると、グラフは\(y=1\)を通りながらも、\(y\)軸に対して線対称となります。
底が大きくなるほど\(y\)軸寄りに、小さくなるほど直線\(y=1\)に近づく
では、この指数関数のベース\(y=a^x\)は底\(a\)によって、どのような振る舞いをするのかみてみましょう。
まずは底が1よりも大きい場合を見てみましょう。
ちょっとカラフルにしすぎたかもしれませんが、底が1よりも大きいときは底が小さくなるほど\(y=1\)に近づいていることがわかります。
では底が1よりも小さいときはどうなるか、実はもう予想できているのではないでしょうか?
底が逆数になると、グラフは\(y\)軸対称になるのでした。
つまり、底が1よりも小さいときは底が大きくなるほど\(y=1\)に近づいていることが、(あまりグラフを見なくても)わかるはずです。
対数関数と\(y=x\)において線対称であること
対数関数\(y=\log_2 x\)のグラフを見てみましょう。
このように指数関数のベース\(y=a^x\)に対して、対数関数\(y=\log_a x\)は\(y=x\)に対して対称的なグラフになります。
結果だけ抑えておけばいいですが、理由も説明しておきましょう。
対数\(y=\log_a x\)は、日本語に翻訳すると「\(x\)は\(a\)の\(y\)乗」です。
参考log(ログ)って何?常用対数、自然対数とは?対数を徹底解説!!
つまり、対数関数\(y=\log_a x\)は指数関数\(x = a^y\)と同じ意味になります。
2つの指数関数\(y=a^x\)と\(x=a^y\)は\(x\)と\(y\)を入れ替えただけの関係になりますね。
この関係を逆関数といい、逆関数には\(y=x\)に対して線対称になるという性質があります。
参考逆関数とは?グラフから考える『入れ替える』意味とその性質
つまり指数関数と対数関数には、逆関数という関係があり、それがこの\(y=x\)に対して対称となる理由になっているんですね。
グラフの特徴だけで問題の罠やゴールが見える
今回はグラフの形を眺めてみて、さっとわかる特徴を言語化していきました。
というのは率直な感想でしょう。
ではグラフの特徴をしっかり理解しておくと、どれだけ便利か、練習問題を見てみましょう。
例題
次の4つの数の大小を比較せよ。
$$\frac{1}{\sqrt[3]4}, \ \sqrt{\frac{1}{64}}, \ 1,\ \frac{1}{2^{0.4}}$$
一見不気味ですが、これらの指数は全て底を2、もしくは4で揃えることができます。
例えば4で揃えてみると
のようになります。
底が1より大きいとき、指数関数は\(x\)の値が大きいほど、その値が急増するのでした。
そのため結局、指数の大小関係だけをみればよく、
であることから、
の順になるため、
とわかります。
この解答で特殊なのは、底を4で揃えるという発想です。
計算機で計算するわけでもなく、なぜ底を4で揃えるという発想が出てきたのか、それは指数関数のグラフの振る舞いを解法に応用したためです。
計算機を用意しなくても、指数関数のグラフの性質を考えると、底さえ揃えることができれば指数の大小比較に持ち込める、という流れなんですね。
まとめ
まとめ
指数関数のグラフを思い浮かべるときには、
- \(x\)の値の変化によって、\(y\)の値が急増、緩減すること
- 0以下にならないこと
- 必ず1を通ること
- 底が逆数になると\(y\)軸対象になること
- 底が大きくなると\(y\)軸寄りに、小さくなると直線\(y=1\)に近づくこと
- 対数関数と\(y=x\)において線対称であること
の6つの性質を思い浮かべれば良い。
指数関数の性質は、結構な問題で解法の1手として登場します。
先ほどの例題は、もちろん一例に過ぎず、まだまだいろんな性質を利用した解法があります。
いつか、「当たり前やろ」といって解けるようになるといいですね。
もちろん、6つの性質を丸暗記する必要はなく、グラフを紙の隅っこに書いて考えてみてもOKです。
振る舞いから解法の流れを捉えられるようにしていきましょう!
以上、「指数関数のグラフとその振る舞いについて」でした。
チェック問題
例題
\(x=3.453\)のとき、次の中で最も小さくなる数はどれか
(※見切れている場合はスクロール)
先ほど扱った例題では底を4に揃えることで、実質的に指数の比較に持ち込みました。
しかし今回は底を揃えることは厳しそうです。
そこで底をじっくり観察してみると、どれも1よりも大きいことに気づきます。
底が1よりも大きい場合、指数関数は底が大きいほど\(y\)軸に、小さいほど\(y=1\)に近づくのでしたね!
よって、底を比較してみると
となります。
よって、この中で最も小さい\(\frac{14}{13}\)が最も1に近いとわかります。
それはすなわち、\(\left(\frac{14}{13}\right)^x -1\)が最も小さいことを意味していますね。
例題
\(t=2^x\)とする。このとき、\((t+1)(t-4)=0\)を満たす\(x\)の値を求めよ。
これは後に出てくる指数方程式をちょっと優しくしたもの。
普通に考えると\(t= -1, 4\)なので、\(2^x = -1, 4\)の解を探してしまいたくなります。
しかし指数関数のグラフを思い浮かべてみると、グラフは必ず\(y>0\)となるのでしたね。
よって\(2^x = -1\)の解は存在しないと一発で見抜けます。
なので、この問題を見た瞬間に\(t=4\)となる解、すなわち\(x=2\)が答えだと瞬殺できるわけですね。
指数方程式ではよく使う考え方なので、しっかり抑えておきましょう!