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\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}




この記事を読むと、この問題がわかる!
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x=\sin y\ \left(-\frac{\pi}{2}<y<\frac{\pi}{2}\right)
を満たすとき、\frac{dy}{dx}を求めよ。 -
y = \log x
を満たすとき、\frac{dy}{dx}を求めよ。

逆関数の微分公式
逆関数の微分では、次のことが成り立ちます。
逆関数の微分公式
\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}
合成関数の微分法と同じように、微分の「分数のように扱える性質」を使用しています。

例題
x=\sin y\ \left(-\frac{\pi}{2}<y<\frac{\pi}{2}\right)
を満たすとき、\frac{dy}{dx}を求めよ。
(解答)
xをyについて微分すると、
\frac{dx}{dy} = \cos y
よって、
\begin{align} \frac{dy}{dx} &= \frac{1}{\frac{dx}{dy}}\\\ &= \frac{1}{\cos y}\\\ \end{align}
-\frac{\pi}{2}<y<\frac{\pi}{2}より、
\cos y = \sqrt{1-\sin^2 y}=\sqrt{1-x^2}
以上より、
\frac{dy}{dx} = \frac{1}{\sqrt{1-x^2}}
逆関数の微分公式は
- 逆関数のまま微分したいとき
- y=f(x)の形にそもそも戻せないとき
に有効です。


逆関数の微分公式の証明について
合成関数の微分法のときもそうでしたが、厳密な証明は大学数学に任せてあります。
厳密性を重要視するあまり、わかりやすさが欠如してしまっては本末転倒だからです。
ここで扱う証明は、「微分する関数が必ず微分可能であること」を前提に行います。

証明
関数y=f(x)の逆関数x=g(y)について考えます。
x= g(y)の両辺をxについて微分すると、
となります。
ここで合成関数の微分公式を適用すると、
となります。

移項して、無理やり\frac{dy}{dx}の形を作ると、
となります。
逆関数の微分 例題
ここでは、逆関数の微分法が活躍するよく知られた例題をいくつか扱います。
例題1
例題
y = \log x
を満たすとき、\frac{dy}{dx}を求めよ。
(解答)
y=\log xであるから、x=e^y。
\begin{align} \frac{dx}{dy} &= \left(e^y\right)'\\\ &= e^y \\\ &= x \\\ \end{align}
よって、
\begin{align} \frac{dy}{dx} &= \frac{1}{\frac{dx}{dy}}\\\ &= \frac{1}{x}\\\ \end{align}
この関数の導関数は、定義から導くことはできます。
しかし対数関数の微分公式の記事でも扱ったように、導出過程が少し複雑なんですね・・・。
逆関数の微分法を使えば、これほどあっさり出てしまうのに。。。
例題2
例題
y = x^{\frac{1}{3}}
を満たすとき、\frac{dy}{dx}を求めよ。
(解答)
y=x^{\frac{1}{3}}であるから、x=y^3。
両辺xについて微分すると
\begin{align} 1 &= \frac{d}{dx}y^3\\\ \end{align}
合成関数の微分法より右辺は
\begin{align} \frac{d}{dx}y^3 &= \frac{dy^3}{dy}\cdot\frac{dy}{dx}\\\ &= 3y^2\cdot\frac{dy}{dx}\\\ \end{align}
となる。
よって、
1= 3y^2\cdot\frac{dy}{dx} \iff \frac{dy}{dx} = \frac{1}{3y^2}
こちらも通常、無理関数の微分法を使って微分します。
しかしこのように、わざわざ逆関数に落とし込むことで、無理やり微分することもできます。

まとめ

まとめ
逆関数の微分法は、分数のようにみなして
- \frac{dy}{dy}を求めて、
- \frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}を計算すれば良い。
また、あえて逆関数の微分法を使うことで簡単に微分できることがある。
逆関数の微分法は、問題を解く上で必須のテクニックになることが多いです。
また解答のテクニックとしては優秀で、対数微分法と同じように、複雑な関数の微分を容易にしてくれることがあります。

ぜひ重要テクニックとして、頭に入れておきましょう。
以上、「逆関数の微分法」についてでした。