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2点を結ぶグラフの曲がり方には、
- 【\(\infty & 0\)型】
- 【\(0 & \infty\)型】
- 【\(-\infty & 0\)型】
- 【\(0 & -\infty\)型】
の4通りがある。
この記事を読むと、この意味がわかる!
- 変曲点を調べる意味
- グラフの曲がり方を正確に、かつ簡単に知るテクニック
Contents
1階微分の弱点
数Ⅱで学んだ増減表では、カーブする地点で接線の傾きの正負が切り替わることに着目して、グラフのおおよその形を把握することができました。
しかしこの方法には、1つだけとんでもない弱点があるのです。
それは与えられた方程式が未知の場合は、使い物にならないということです。
増減表を元に書いたグラフはこれまで3次関数や4次関数程度ではないでしょうか。
これらはあらかじめグラフの形がわかっているので、増減表を見ておおよそこの形になるだろうと推察できます。
$$x$$ | $$\cdots$$ | $$a$$ | $$\cdots$$ | $$b$$ | $$\cdots$$ |
$$y'$$ | $$+$$ | $$0$$ | $$-$$ | $$0$$ | $$+$$ |
$$y$$ | $$\nearrow$$ | $$f(a)$$ | $$\searrow$$ | $$f(b)$$ | $$\nearrow$$ |
ですが未知の方程式の場合、同じ増減表ができても、カーブの仕方によって様々なグラフが考えられます。
例
グラフの曲がり方は4パターン
そこでまず重要になるのが、一体グラフの曲がり方は何パターンあるのか、です。
結論から言うと4パターン。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
曲がり方を調べる2通りの方法
それでは未知の方程式だけ与えられた場合、2点を結ぶ曲線が上記4パターンのどれに該当するのか調べる方法をご紹介します。
結論から言うと、2階微分するか極限を調べるかの2タイプしかありません。
2階微分を調べる
あるグラフに対して、微分した値、つまり導関数は接線の傾きを表していました。
では2階微分は何を表すのでしょうか。
簡単に言ってしまえば接線の傾きの未来を表します。
2階微分の値が
- 正であれば、接線の傾きが増加傾向
- 負であれば、接線の傾きが減少傾向
ということになります。
例えば2階微分の値が正であるとき、曲がり方は次の2つに絞られます。
ここでさらに1階微分の値が正であれば
なので、こちらに絞られます。
一覧で簡単に示すと、このような感じです。
カーブの仕方一覧
1階微分の符号 | $$+$$ | $$-$$ | $$+$$ | $$-$$ |
2階微分の符号 | $$-$$ | $$+$$ | $$+$$ | $$-$$ |
グラフのカーブの仕方 |
例題
1階微分の値が正、2階微分の値が負のときはどのような曲がり方をするでしょうか。
2階微分の値が負のとき、考えうる曲がり方は次の2通り。
1階微分が正なので、
なので、この曲がり方で確定です。
極限を調べる
先ほど曲がり方4つの型を紹介しました。
そのときに接線の傾き\(f’(x)\)が端点\(a\)や\(b\)に近づくとき、どのような極限値になるのかを同時に記載しましたね。
要はこの極限を調べれば、曲がり方はわかります。
具体的な問題で見てみましょう。
例題
\(y=\tan x\)のグラフを\(-\frac{\pi}{2}≦x≦\frac{\pi}{2}\)の範囲で描け。ただし\(y'=\frac{1}{\cos^2 x}\)は認めて良い。
$$\left. \begin{array}{l} y' \underset{x\to +0}{\longrightarrow} 1 \\ y' \underset{x\to \frac{\pi}{2}}{\longrightarrow} \infty \end{array} \right\} 【1 & \infty】$$
よって、次のようなことがわかる。
- \(-\frac{\pi}{2}\)に向かうほど、接線の傾きが大きくなる
- \(\frac{\pi}{2}\)に向かうほど、接線の傾きが大きくなる
よってグラフは次のようになる。
2つの手法の使い分けかた
この2つの手法には、それぞれ適した場面があります。
【2階微分を使う手法】
- 変曲点のあるグラフを描く
- 極限を求めようにも複雑で、微分したほうが早い
特に、変曲点と呼ばれる曲がり方が突然変わる点は、2階微分の方が求めやすいということを押さえましょう。
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【増減、凹凸を調べ、グラフを描け】意味を考えれば、凹凸グラフは迷わず解けるよ。
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【極限を使う手法】
- 極限の計算の方が、2階微分より手間でない
- 媒介変数表示のグラフを描く
特に媒介変数表示で表されたグラフは、この極限を使う手法の方が圧倒的に早く、簡単です。
2階微分を使ってできないことはないですが、恐ろしくめんどくさい微分をする必要があります。
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【媒介変数表示のグラフ】2階微分は絶対するな!極限を使った超カンタン解答方法
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まとめ
まとめ
2点を結ぶグラフの曲がり方には、
- 【\(\infty & 0\)型】
- 【\(0 & \infty\)型】
- 【\(-\infty & 0\)型】
- 【\(0 & -\infty\)型】
の4通りがあるが、ごくまれに具体的な接線の傾きに近づく。
変曲点を求めるためには、2階微分を用いれば良い。
媒介変数表示のグラフを描くためには、極限を用いれば良い。
今回はグラフの曲がり方という、みんな知らないけど超重要な観点についてお話ししました。
この感覚が身についていると、「グラフを描け」問題はマジで簡単になります。
公式暗記や小手先だけのテクニックではなく、本当の意味をしっかり理解しておきましょう。
以上、「グラフの曲がり方」についてでした。