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不定形には7つの種類があり、そのどれも式によって意味する値が変化するため、解としては無意味である。
不定形を避けるためには
- 分母分子を共通の文字で割る
- くくり出してみる
- \(\frac{●}{●}=1\)をかけたり、\(■-■=0\)を加えてみる
などして、ゴミを作って必要な部分だけ残す作業をすればOK。





この記事を読むと、この問題が解ける!
- $$\lim_{n\to \infty} \frac{2n^2-5}{n+3}$$
- $$\lim_{n\to \infty} \frac{\sqrt{n^2+n}+3n}{2n-1}$$
不定形とは【この7つには要注意】
不定形とは、
ポイント
- $$\frac{0}{0}$$
- $$\frac{\infty}{\infty}$$
- $$0\times \infty $$
- $$\infty - \infty$$
- $$1^{\infty}$$
- $$0^0$$
- $$\infty^0$$
の7つのことを言いいます。
極限を計算したときに、この7つのうちどれかに該当した場合、解としては無意味であることを意味しています。

ここでは迷わないよう7つと紹介していますが、式変形をすると全て
$$\frac{\infty}{\infty}$$
の2つに帰着することができます。
なぜ不定形がダメなのか
ここでは不定形が、なぜ解としては無意味なのかを丁寧に解説していきます。
具体的に次の問題を考えてみましょう。
例題
$$\lim_{n\to \infty} \frac{n}{n}$$
分母も分子もともに\(\infty\)に近づくので、\(\frac{n}{n}\)は\(\frac{\infty}{\infty}\)に近づきます。
ところで、当然ですが\(\frac{n}{n}=1\)なので、
より極限値は1のはず。
つまり
ということが言えるわけです。
では次の例題はどうでしょうか。
例題
$$\lim_{n\to \infty} \frac{n}{2n}$$
先ほどと同様に考えてみましょう。
分母も分子もともに\(\infty\)に近づくので、\(\frac{n}{2n}\)は\(\frac{\infty}{\infty}\)に近づきます。
当然ですが\(\frac{n}{2n}=\frac{1}{2}\)なので、
より極限値は\(\frac{1}{2}\)のはず。
つまりここでは
ということが言えるわけです。

このように、\(\frac{\infty}{\infty}\)は特定の値を表しているのではなく、式によってその意味が変わってしまいます。
なので不定形、つまり何も定めていない数として呼び名がつきました。

不定形を回避する超便利変形
そのまま極限を考えると不定形になってしまうものでも、適切な式変形を施すと不定形を回避することが可能です。
ここでは、よくある「不定形を回避するための式変形」をご紹介します。
分母分子を割る
例題
$$\lim_{n\to \infty} \frac{n^2+3n}{2n^2+5}$$
そのまま極限を考えると、\(\frac{\infty}{\infty}\)の不定形になってしまいます。
そこで、分母分子を\(n^2\)で割ってみると

ここで数列の極限の計算法則でも紹介した
\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \alpha, b_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \beta\)のとき、
$$\lim_{n\to\infty} \frac{b_n}{a_n}=\frac{\beta}{\alpha}$$
を使いましょう。
すると、
くくりだす
例題
$$\lim_{n\to \infty} \left(3^n-2^n\right)$$
そのまま考えると\(\infty-\infty\)の不定形になってしまいます。
そこで今回もゴミを見つけるところから始めてみましょう。
試しに\(3^n\)でくくってみると、
となります。
\(n\to\infty\)のとき、\(3^n \to \infty\)となり、\(\left(\frac{2}{3}\right)^n\to 0\)(ゴミ)となるので、
となり、うまく不定形を避けることができました。
作り出す
例題
$$\lim_{n\to \infty} \left(\sqrt{n+1}-\sqrt{n}\right)$$
そのまま考えると、\(\infty-\infty\)の不定形になってしまいます。
そこで有理化を意識して、
(※見切れている場合はスクロール)
のように、式変形をしてみます。

すると、
(※見切れている場合はスクロール)
となり、不定形を回避できました。
まとめ

まとめ
不定形には7つの種類があり、そのどれも式によって意味する値が変化するため、解としては無意味である。
不定形を避けるためには
- 分母分子を共通の文字で割る
- くくり出してみる
- \(\frac{●}{●}=1\)をかけたり、\(■-■=0\)を加えてみる
などして、ゴミを作って必要な部分だけ残す作業をすればOK。
今回紹介した不定形の意味は、案外知っている人が少ないので、しっかりと意味を押さえておくとかっこいいですね。
また、不定形の回避方法も今回暑かった3つだけでなく、式によって様々な対処法があります。
基本として押さえておきましょう。
以上、「不定形について」でした。
チェック問題
例題
$$\lim_{n\to \infty} \frac{2n^2-5}{n+3}$$
(解答)
そのまま極限を求めると\(\frac{\infty}{\infty}\)の不定形になる。
そこで、分母と分子を\(n\)で割ると
(※見切れている場合はスクロール)


例題
$$\lim_{n\to \infty} \frac{\sqrt{n^2+n}+3n}{2n-1}$$
(解答)
そのまま極限を求めると\(\frac{\infty}{\infty}\)の不定形になる。
そこで、分母と分子を\(n\)で割ると
(※見切れている場合はスクロール)
