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2つの数列\(\{a_n\},\{b_n\}\)が、どの項でも\(a_n≦b_n\ (n=1,2,3,\cdots)\)となるとき
$$a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \inftyならばb_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \infty$$
$$b_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} -\inftyならばa_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} -\infty$$
この記事を読むと、この意味がわかる!
- $$\lim_{n\to\infty} \left(3^n - 2^n\right)$$
- $$\lim_{n\to\infty}\left(n^5-3n^4\right)$$
追い出しの原理とは
追い出しの原理
2つの数列\(\{a_n\},\{b_n\}\)が、どの項でも\(a_n≦b_n\ (n=1,2,3,\cdots)\)となるとき
$$a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \inftyならばb_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \infty$$
つまり
と言っています。
これを負の数にも応用すると、
追い出しの原理 Part2
2つの数列\(\{a_n\},\{b_n\}\)が、どの項でも\(a_n≦b_n\ (n=1,2,3,\cdots)\)となるとき
$$b_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} -\inftyならばa_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} -\infty$$
感覚的に当然、あまりに簡単すぎますね。
そのため問題ではあまり問われませんが、まぁ頭の片隅にでも入れておけばOKでしょう。
追い出しの原理の例題
例題
$$\lim_{n\to\infty} \left(3^n - 2^n\right)$$
そのまま考えると\(\infty-\infty\)の不定形になってしまいますね。
そこで、
のように式変形してみます。
すると、\(n≧1\)において
と言えますね。
なので、追い出しの原理より、
となります。
追い出しの原理の使い方
もう一度言いますが、追い出しの原理は
・簡単すぎる
・感覚的に分かり易すぎる
という点から、1つの問題として出題されることは、ほとんどありません。
また解答の中で追い出しの原理を使って式変形する場面が登場しても、明示的に「追い出しの原理より」なんてのも書かなくてOKです。
まとめ
まとめ
追い出しの原理を使うためには、不等式を用いて、
- より小さい方が正の無限大に発散することを示せば良い。
- より大きい方が負の無限大に発散することを示せば良い。
また、感覚的に明らかなので、「追い出しの原理より」と明示的に書く必要もそれほどない。。。
ちょっと雑な扱いをしてしまいましたが、追い出しの原理はそれほど出てきません。
練習問題では、追い出しの原理を利用して「極限の解釈の仕方」を見直す問題を用意しましたので、是非解いてみてください。
以上、「追い出しの原理について」でした。
チェック問題
例題
$$\lim_{n\to\infty}\left(n^5-3n^4\right)$$
\begin{align} n^5-3n^4 &= n^5\left(1-\frac{3}{n}\right)\\\ &≧ n^5\left(1-\frac{3}{4}\right)\\\ &\to \infty \end{align}
よって、追い出しの原理より
$$\lim_{n\to\infty}\left(n^5-3n^4\right)=\infty$$
今回の不等式の部分は、\(n≧4\)のときしか成り立ちませんね。
しかし、\(n\to\infty\)で議論するので、別に\(n=1\)のときや\(n=2\)のときをすっ飛ばしても問題ありません。