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無限級数が収束するか判断するためには、
$$\lim_{n\to\infty} a_n$$
の値を調べれば良い。
この極限値が0でなければ発散する。
もしこの極限値が0であっても、収束するとは限らない。



この記事を読むと、この意味がわかる!
次の無限級数は収束するか。する場合はその和を示せ。
- $$3-2\sqrt{3}+4-\frac{8\sqrt{3}}{3}+\cdots$$
- $$\frac{1}{1\cdot3}+\frac{1}{2\cdot4}+\frac{1}{3\cdot5}+\cdots$$

Contents
無限級数が収束する条件
ポイント
無限数列\(\{a_n\}\)の無限級数\(\sum_{n=1}^{\infty} a_n\)について、
$$\sum_{n=1}^{\infty} a_nが収束する\Longrightarrow \lim_{n\to\infty} a_n =0$$
また、この対偶をとると、
$$\lim_{n\to\infty} a_n \neq 0 \Longrightarrow \sum_{n=1}^{\infty} a_nは発散する$$
と言えます。
ただしこれを丸暗記しても、実用性は低いので魔法の呪文を紹介します。
上記の収束条件をより分かりやすい日本語に訳してみると・・・
しかし、そもそも\(a_n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 0\)でなければ、\(\sum_{n=1}^{\infty}a_n\)は収束しない。
具体的に、例題を通してみてみましょう。
無限級数の調べ方は、こちらを参考にしてください。
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【無限級数】の定義と、収束・発散を調べるためのコツをまとめました。
続きを見る
無限級数の収束:例題
ここでは3つの例を紹介しますが、今回の内容が一番効果的なのは例3です。
例1:無限級数が収束する場合
例題
次の無限級数は収束するか。収束する時はその和を求めよ。
$$\sum_{k=1}^{\infty} \left(\frac{2}{3}\right)^k$$
この無限級数は、無限数列\(\left\{\left(\frac{2}{3}\right)^n\right\}\)が元になっていますね。
\(\left(\frac{2}{3}\right)^n \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 0\)なので、この無限級数は収束する可能性がありますね。


収束するかなぁ、、、という心持で計算してみると、
\begin{align} \sum_{k=1}^n \left(\frac{2}{3}\right)^k &= \frac{2}{3}\cdot\frac{1-\left(\frac{2}{3}\right)^n}{1-\frac{2}{3}}\\\ \end{align}
STEP2.部分和の極限を求める
\begin{align} \frac{2}{3}\cdot\frac{1-\left(\frac{2}{3}\right)^n}{1-\frac{2}{3}} &\underset{n\to \infty}{\longrightarrow} \frac{2}{3}\cdot\frac{1}{1-\frac{2}{3}}\\\ &= 2\\\ \end{align}
収束しましたね。
例2:無限級数が発散してしまう場合
例題
次の無限級数は収束するか。収束する時はその和を求めよ。
$$\sum_{k=1}^{\infty}\frac{1}{\sqrt{k+1}+\sqrt{k}}$$
この無限級数は、無限数列\(\left\{\frac{1}{\sqrt{n+1}+\sqrt{n}}\right\}\)が元になっていますね。
\(\frac{1}{\sqrt{n+1}+\sqrt{n}} \underset{n\to \infty}{\longrightarrow} 0\)なので、この無限級数も収束する可能性があります。
収束するかなぁ、、、という心持で計算してみると、
(※見切れている場合はスクロール)
STEP2.部分和の極限を求める
$$\lim_{n\to\infty} \left(\sqrt{n+1}-1\right)=\infty$$
このように、元になっている無限数列が収束したとしても、その無限級数が収束するとは限りません。
あくまで目安程度に考えましょう。
例3:無限級数の発散が確定する場合
例題
次の無限級数は収束するか。収束する時はその和を求めよ。
$$\sum_{k=1}^{\infty}\frac{k}{2k-1}$$
この無限級数は、無限数列\(\left\{\frac{k}{2k-1} \right\}\)が元になっていますね。
この無限数列の極限を調べてみると・・・




そのため、ここで解答を終えてもOKです。
無限級数が収束する条件の証明
無限数列\(\{a_n\}\)と、その無限級数\(\sum_{n=1}^{\infty} a_n\)、またその部分和\(S_n\)と無限級数の和\(S\)について考えます。
この条件から、
ということを言っているので注意してくださいね。
\(n≧2\)において、
ということができます。
これにより
と変形でき、
ということができました。
まとめ


まとめ
無限級数が収束するか判断するためには、
$$\lim_{n\to\infty} a_n$$
の値を調べれば良い。
この極限値が0でなければ発散する。
もしこの極限値が0であっても、収束するとは限らない。
今回の内容が最も役立つのは、『無限級数が発散すること』を示す場合です。
経験上お分かりかと思いますが、\(a_n\)が分かっていても、その部分和\(S_n\)を求めることは簡単ではありません。
つまり、\(a_n\)が発散することさえわかれば、\(S_n\)を求めなくてもOKになります。
苦労を1つ減らせると思えば、今回の重要度が分かりますね。
以上、「無限級数の収束する条件」についてでした。
チェック問題
例題
次の無限級数は収束するか。する場合はその和を示せ。
$$3-2\sqrt{3}+4-\frac{8\sqrt{3}}{3}+\cdots$$
この無限級数の第\(n\)項\(a_n\)は、初項3、公比\(-\frac{2\sqrt{3}}{3}\)の等比数列であることから
と表せる。
この極限を調べてみると、
(※見切れている場合はスクロール)
となり、0に収束しない。
よって、この無限級数は発散する。
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【等比数列の極限】暗記は絶対にダメ!絶対必要な極限の感覚をマスターしよう。
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例題
次の無限級数は収束するか。する場合はその和を示せ。
$$\frac{1}{1\cdot3}+\frac{1}{2\cdot4}+\frac{1}{3\cdot5}+\cdots$$
この数列の一般項\(a_n\)は、
と表せる。


部分和\(S_n\)を求めると、
(※見切れている場合はスクロール)
この極限を求めると、
(※見切れている場合はスクロール)
よって、この無限級数は収束し、その和は
である。